内容説明
アップル、グーグル、FB、世界を変える企業が次々生まれるシリコンバレー。一方、広がる貧富の差、人種差別、IT企業VS国家、新しい技術と既存社会の衝突など影も深い。今後の世界を考える上で補助線となりうる現地記者の最先端ルポ。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
5 よういち
97
シリコンバレーの本当の姿と抱える闇の部分を紹介した本。◆良書◆よく耳にするシリコンバレー。最先端技術を次々に生み出すこの地域では、それと同時に社会の歪も生んでいる。富裕層と貧困層との圧倒的な所得格差、企業の税金逃れによる地元自治体の財政難等である。◆教育や貧困層にお金を出す企業は必ずビジネスでの成果を求める。大きな企業は政策課題の決定権も握りかねない。◆自分で敵を判断して、人を殺すロボットの開発の件には衝撃を受けた。◆最先端技術を持ち、経済にも影響を及ぼす者が、権力を手にすることを考えると背筋が凍る。2020/04/17
えちぜんや よーた
78
小金持ちが大金持ちをやっかんでいるように読める。そもそも私有財産をどのように処分するかは所有者の自由。「寄付をする。使い道は問わない」も「お金は出す。口も出す」のも所有者の自由。加えて著者の目線は既存の近代国家の基準で書かれているように見える。日本史で言えばかつての戦国大名や自治都市・堺のように、Facebook(Apple,Amazon,Google)は権威(室町幕府)に頼らず独自の経済圏を作ろうとしているだけではないのだろうか。土地と結びついた国民国家が衰微していることを描写しているように思う。2018/01/08
James Hayashi
38
気候が良く、治安も安全、日本語の書籍もある図書館など便利な街。しかし居住費の高さゆえ高度の職種を持たない人には住みづらい街。朝日新聞のSF支局長(女性)が持たれているコラムを纏めたもの。シリコンバレーが如何の斯うの言う話でなく、ITやAI(人工知能)などcutting edge technologyの現状とそれが抱える問題を切り取っており興味深かった。TiE(インダス起業家の会)というコミュニティーがインド系の躍進に貢献している事、FBIと企業のプライバシーに関しての対立など今後もアップデートしていきたい2017/05/09
fu
24
富める者と貧する者のみで構成される激しい格差社会が生じている地域シリコンバレーの光と影。本書は、そこから見えてくるアメリカの社会問題を取材した朝日新聞の記事。感想が賛否両論なのは、読者がタイトルからIT企業の話を期待するからだろう。能力主義が徹底しているアメリカですら、人種性別による差別は依然としてある。2016/11/05
ヨータン
19
シリコンバレーに行っても輝いている部分しか見てこなかったんだなとちょっとショックを受けました。こんなにも負の部分がたくさんあったなんて。ホームレスが宿泊代わりに使っている24時間運行バスはあまりにも悲しすぎると思いました。2017/11/29