内容説明
日本料理のおいしさに絶対欠かせない味の礎がだしである。古来、油脂や砂糖が一般に手に入らなかった日本で、うまみをなすだしが発展していった歴史からひもとき、またうまみを最大限に引き出す料亭のだしを平易な言葉で科学的に分析。神秘なるだしの世界を照らす。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Mzo
19
うま味の研究の歴史やメカニズム、だしのもととなる昆布や鰹節の歴史や製法などを丁寧に説明した良書。究極のだしの引き方も載っており、試してみたくなること必定。フレンチと和食の料理人のスタンスの違いが、料理の成り立ちに由来するものであることを指摘するなど、なるほどと思う点も多く面白かった。2017/06/12
たびねこ
10
環境に敏感で、ささいな違いが味わいを大きく左右する、だしの繊細さが伝わってくる。とりわけ昆布は、気難しく、こんなにも奥が深いとは。2017/04/08
ヱロ本Gメン
8
なかなか面白かった。章立てが細かいので年末年始の忙しい時にもチマチマ読めるし、人が集まった時の豆知識披露にも使えるのでおススメ。「だし」を様々な日本文化キーワードに当てはめても納得できる気がするところも面白かった。2017/12/24
Humbaba
6
だしをとる事自体はそれほど難しいことではないし、手間がかかることでもない。ただし、それは日本食が簡単というわけではなく、それまでに様々に手が加えられえいるからこそ実現できる。美味しいと感じられるのは勿論大事だが、そこに品があるかどうかと言うものまた重要である。2017/02/28
imagine
5
科学的な視点から「だし」を考証した本。うまみ成分の数値測定や、マウスを使った嗜好性の実験結果などが提示される。だしの歴史、昆布漁の体験記の章もあるので、理解を深めることができた。京大で共同研究したせいか、京都の一流料亭でのケースが多く取り上げらているが、日本各地の郷土料理や庶民の知恵についても知りたくなった。民俗学的な方面から資料を探してみようかな。2017/11/22