講談社文芸文庫<br> 戦後的思考

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講談社文芸文庫
戦後的思考

  • 著者名:加藤典洋【著】
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  • 特価 ¥1,609(本体¥1,463)
  • 講談社(2017/01発売)
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  • ISBN:9784062903288

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内容説明

1995年、戦後50年目に発表された「敗戦後論」は、単行本刊行後、百を越える批判を左右両翼から浴びた。本書はその反響の醒めぬなか、それらを正面から受け止め、「批判者たちの『息の根』をとめるつもり」で書き始められた。「戦後的思考」とは何か。戦前と戦後はなぜ「つながらない」のか? 今こそ我々に必要な、生きた思想と格闘する画期的論考を、増補改訂を施し、21世紀に再度問う。*解説は収録されていません。

目次

第一部 戦後的思考とは何か
I 一九九七年の「歴史主体論争」──日本・ドイツ・韓国
第二部 戦前──誤りをめぐって
II 罪責感を超えるもの──吉本隆明「転向論」の意味
III 戦争体験の世界性──『戦艦大和ノ最期』と「大衆の原像」
第三部 戦後──私利私欲をめぐって
IV 市民と公民のあいだ──アーレント・ヘーゲル・マルクス
V 私利私欲と公的なもの──ルソーからドストエフスキーへ
第四部 戦前と戦後をつなぐもの
VI 天皇と戦争の死者──昭和天皇VS三島由紀夫

あとがき
著者から読者へ
年譜
著書目録

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

佐島楓

68
日本的な戦後の思考法は、ものすごく先鋭的な日本的なものから発祥しているのではないだろうか。そこにヘーゲル、ルソー、アーレントなど西洋的な要素をぶちこみ、しかも破綻がないという筆力に驚く。その方法が正しいのかどうかわからないのだが、論理として通っているので文句が言えない。うーん、読まねばいけない本が増えていくなぁ。2019/08/31

ころこ

37
戦前における日本の侵略を謝罪するには、謝罪する主体が必要である。その主体は、刑事責任能力のように理性的な人格的同一性を持っていなければならない。したがって、戦前と戦後の日本の連続性を確認するため、戦後の人間が戦没者に哀悼を示す必要がある。他方で、戦後リベラルは戦後民主主義に基づいているため、戦後に批判するだけの立場に立つ。まず侵略を謝罪せよという。彼らは戦後に指導的立場に取って代わったため、それまでの責任は負わない。彼らにとって、戦前戦後の切断はむしろ正しいといえるし、切断を我が物とすることで批判する立場2019/10/14

ゆえじん

2
やっぱ加藤典洋しゅごい… 敗戦後論への批判を受け止めて書かれたのが本書。敗者の立場に立つ「ねじれ」た思考から、生活から切り離されていってしまうインテリの問題を「後進性」として指摘し、私的なものから公的なものを立ちげるという近代観からアレントを批判して… ルソー、ドストエフスキー、三島由紀夫… そう、ぼくの好きなモチーフがたくさん登場する。そしてなんと解説は東浩紀、解説は東浩紀。なるほど… ゲンロン0のグローバリズム対ナショナリズムの構図は加藤典洋のアップデートだったんですねぇ…2019/08/18

hiroizm

2
だいぶ批判を受けた戦後論の続編らしいけど、ジョン・ダワー「敗北を抱きしめて」、鹿島茂「吉本隆明1968」、ドナルド・キーン「日本人の戦争」などなど読んだおかげで納得して読めた。個人的に馴染みの薄いアーレントやルソーのくだりは読むのが大変だったけれど、最後の三島由紀夫論他色々と頷けるところが多い。とにかく力作。読み応え充分、2018/01/16

マヌヌ2号

1
“どのようなあり方も真正(ジェヌイン)なものとしての権利を失い、一個の外在性となる”ような場所において、“自分であることをやめずに、自分にとって異質な存在とな”った人間が、“そこで互いに他人と対話し、その対話を通じて、新しい自己と新しい関係を作る”ことに、著者は普遍性をみてとる。そこから見えてくる普遍的な人間とは、私利私欲で動き、意味もなく間違いを繰り返す、擁護の余地なく悪い二枚舌の群体である。……という人間像を前提に、本書はこう問う。“「悪」から「善」を作ることは、ここでも、可能なのではないだろうか”と2025/06/22

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