内容説明
少女小説作家として一世を風靡し、若くして文壇にデビューした吉屋信子が描き上げた、「女流文壇」の草分けともいうべき十人の肖像。男性が中心だった近代日本の文壇史において「女流」と一括りにされながら個性豊かに輝いた女性作家たちの魅力を、折に触れての交流の中から余すところなくすくい上げた自伝的エッセイ。章ごとに一人の作家にフォーカスした構成になっていますので、どこからでも読むことができます。
目次
上海から帰らぬ人 田村俊子と私
逞しき童女 岡本かの子と私
純徳院芙蓉清美大姉 林芙美子と私
白いおでこの印象 宮本百合子と私
偽れる未亡人 三宅やす子と私
小魚の心 真杉静枝と私
美女しぐれ 長谷川時雨と私
忘れぬ眉目 矢田津世子と私
東慶寺風景 ささき・ふさと私
美人伝の一人 山田順子と私
女流文学者会挿話
後記
解説 与那覇恵子
年譜 武藤康史
著書目録 武藤康史
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
relaxopenenjoy
7
田村俊子、岡本かの子、林芙美子、宮本百合子、三宅やす子、真杉静枝、長谷川時雨、矢田津世子、ささき・ふさ、山田順子。10人の女流作家に関する随想集。吉屋信子は作品は未読だが本書も「私の見た人」同様、交友関係の広さに驚くのと、人物描写が面白い。菊池寛先生や久米正雄氏はじめ、文壇の男性もちょこちょこ登場。メモ老文豪の愛人(真杉-武者小路、山田-徳田)、大恋愛(矢田-坂口)、姉さん女房(長谷川-三上)やら色々。 2023/08/08
moyin
4
予想より面白かった。吉屋さんの観察眼は的確で、その叙述はやや辛辣である。時代の流れの中に、文学者たちが翻弄される姿がありありと浮かぶ。2020/11/06
ワタナベ読書愛
0
2016年刊行。初版:1977年(中公文庫)。作家:吉屋信子が実際に交流した女性の物書きや、当時の花形作家たちの様子を生き生きと書き残した。自分が感じたこと、考えたこと、他の人の評判、当時の時代背景などを思い出しながら、正直に表現。筆者の生い立ちを知り、その人柄も伝わる。今でも読み継がれている文学作品の作家たちが生きていて、いろいろと活躍したり、やらかしたり。男女関係の乱れや、なりふり構わない金策、やりたいことを思う存分にやった破天荒な人生。今より不自由だった時代に我が道を駆け抜けた先輩に拍手喝采。2024/04/16
コノヒト
0
花物語少女小説の空気にも通ずるような、女性作家らとの交流の記録。流行作家吉屋信子の存在は、私が勝手に思っていたよりも大きかったようだ。2022/09/04
やいとや
0
私小説を書かなかった吉屋信子が唯一書いた「私小説」と云える一冊。其々の女流作家との距離感で逆説的に吉屋信子という人が浮かび上がる構成になっている。大体三パターンに十人が分類出来、岡本かの子や長谷川時雨のような憧れ全開で「先輩大好きっス!」となるパターン、林芙美子の戦友とも言えるような近しく親しい関係性が語られるパターン、そして田村俊子、山田順子、三宅やす子に代表される「ダメな奴で厄介だったけどなんか嫌いになれず心に残っている」パターンで、当然ながら後者が一番面白い。この本もそこに意識的に編まれている。2021/03/22
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