講談社学術文庫<br> 科学の解釈学

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講談社学術文庫
科学の解釈学

  • 著者名:野家啓一【著】
  • 価格 ¥1,375(本体¥1,250)
  • 講談社(2017/01発売)
  • ポイント 12pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784062922104

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内容説明

科学への無批判の信奉と全否定とをともに排し、ハンソンとクーンに代表される「新科学哲学」、クワインの「知識の全体論」、ウィトゲンシュタインの「アスペクト知覚論」を三本の柱に、「自然」を解読する解釈学的営為としての科学の再生を訴える。科学哲学に本来課せられた役割の「科学的理性批判」の回復を謳う、斯界の第一人者による刺戟的な論考。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

Bevel

6
野家の目的は、固有の歴史と規範をもった村々の一つとして科学を表象すること、そして村同士の間に穏健なルールを認めさせることである。自然科学とは理論と理論に従属する実験との関係である。理論が非連続的に変化するとき、その原因は実験のうちに認められない(決定実験の不可能性)。今度はこの事実が別の理論と科学そのものの間に哲学を構成する。科学の条件である言語に対して、共同体/指示/命題化の可能性/生活世界を割りふることで、哲学は科学の可能性を説明する。クワインやクーンの議論を項目ごとにまとめる手際のよさが印象に残る。2014/12/19

静かな生活

3
REVIEW SCORES 90/100未来からやってきたかのような論理的明晰力があると思います。 ChatGPT: 【成果】 硬質な科学の殻をやわらかな言語へと還元する試みだ。野家は、観察の背後にある語りの地層を掘り起こし、科学を「読む」営みへと詩的に再構成した。知の孤立を解釈の連環へと結び直す光がある。 【限界】 だがその語りは、科学の制度的現実や政治的力学に沈黙しがちだ。解釈は詩のように美しくとも、権力を孕む知の現場に触れきれず、言葉はときに世界の重みに対して無力な空中楼閣と化す危うさを抱える。2021/12/31

ゲニウスロキ皇子

3
とても面白かった。近代科学を頂点とした知のヒエラルキーを解体して、科学をあくまでも一定の規範を共有した歴史的・地理的に限定された解釈共同体の営みとして理解しようとする論述は実にスリリングである。これをキッカケにクーンのパラダイム論をきちんと読んでみようという気になった。しかし、この手の学者の文章は切れ味が鋭くて痛快。本当に読んでいて楽しい。2014/10/14

百十一

2
クーンのパラダイムや、ラッセル・ハンソンの観察の理論負荷性について、歴史的な背景を含めつつ紹介してくれていた。ハンソンの本は少し読んでいたが、何を言っているのか分からず挫折していたが、この本のおかげでハンソンが何を言いたかったのかすっきりした気がする。中盤の、ネオプラグマティズムについての論考も、クワインなどの考えについて詳しく議論されていて、新書だけではピンとこなかったところが多少分かった気がする。2023/02/09

maqiso

1
科学哲学は、自然科学の手法を他分野に適用する論理実証主義から始まったが、パラダイム論による相対化を経て、認識論的な手法で自然科学を取れるようになった。知のネットワークは経験と矛盾しないように絶えず組み替えられていくが、中心に位置する模範的な知識までもが変わることをパラダイム転換と呼ぶというモデル化がわかりやすい。最後のウィトゲンシュタインの話が他から浮いている。2020/09/21

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