内容説明
「空腹に耐えかねてティッシュをかみしめる姉妹」「乳歯がすべて根だけになった男児」「頭がシラミだらけになった姉妹」──。取材班が半年以上かけて歩いた“貧困の現場”から、社会から孤立する子どもの深刻な実態を浮き彫りにし、解決の方途を探る。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
kinkin
81
朝日新聞に連載されている記事をまとめた本。子どもの貧困は六人に一人これが日本の実態だ。子どもの貧困率は年々上がってきているそうで先進国のなかでは最も悪いとも書かれていた。昔は貧乏という言葉は聞いても貧困という言葉は今よりずっと少なかったのではないか。貧困と裕福の格差がどんどん広がっていると思う。様々な貧困の現場は想像していたよりずっと悪いと思う。しかし自分の身の周りにもきっと隠れた貧困もたくさんあるのだろう。本書の最後に「大人がしたいことではなく、子どもが必要とすることをやる」という言葉が印象に残った。2017/08/26
ナミのママ
61
3分の2を占める第一部の「現場から」は朝日新聞にてほぼ読んでいました。その解説と、取材班がどんな人か、どのような視点から記事にしたのか、そこが一番知りたい部分でした。感想がとても書きにくい・・・。すべてを「自己責任論」で否定はしませんが、あまりに短絡的に感じる部分もありました。2016/11/05
ヒデミン@もも
44
市図書館。社会福祉論の課題。新聞連載中から欠かさず読んでいた。が、他社の記事と比べると劣る。2017/07/30
ゆう。
43
朝日新聞で連載されていた記事をまとめたルポです。子どもの貧困の実態を丁寧に取材されており、その背景にある家庭の生活問題も含めて現実をリアルに知ることができました。けっして自己責任では解決できる問題ではなく、社会のなかで必然的に生み出されているのが現在の貧困です。そのための解決策は何なのかも識者を登場させながら、社会的養護のあり方や子ども食堂の持つ意味などにも触れながら考えることができる内容でした。良質なルポだと思いました。2017/08/28
KEI
40
【貧困率とは世帯収入から国民一人ひとりの所得を子どもを含めて試算し、順に並べた時、真ん中の人の半分に満たない割合】日本の子どもの6人に1人がこの貧困層にあるとは聞いていたが、本書のルポを読んで言葉を失う。貧困に苦しむ子供達はその母親のまた親世代からの負の連鎖に陥っていることが多い。子には全く責任は無いのに。日々の栄養、教育の機会も、そして自己肯定や他者にsosを発信することすら知らない。本書は現場の状況と支援、社会制度について言及され分かり易い。先進国の中では最もお粗末な対策の我が国、喫緊の課題である。2017/02/21