内容説明
〈トム・ハンクス主演、トム・ティクヴァ監督の映画化原作〉起死回生の大口注文はとれるのか!? 中東の砂漠の都市に乗り込んだセールスマンを襲う悲喜劇を描いたアメリカ文学界の新鋭の話題作!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
星落秋風五丈原
50
アメリカといえば大量消費、大量生産というイメージが一般的だったのはひと昔前のこと。今では中国が世界の工場と言われ、それでも人件費が高くなれば、マレーシアやインドなどアジア諸国が手を上げる。 売り込みにきたもののなかなか目指す相手に会えないストーリー展開はカフカの『城』やベケット『ゴドーを待ちながら』を彷彿とさせる。アランが売ろうとしているホログラムも実際にはないものであり、アランは幻を売って今はなき威信を取り戻そうとするアメリカそのものとも受け取れる。原作にほれ込んだトム・ハンクス主演で映画化、公開。2017/05/12
ゆりあす62
45
図書館本。★★★☆☆ 2017/05/14
sssakura
33
建設中の大都市に、ホログラム技術を売り込むために送りこまれた主人公。いつ来るかわからない王様を待つ間にできた、短くない時間。異国の地の文化に戸惑ったり、今までの人生や、解決しなければいけないアレコレを考える。リアルに感じられたのは、現実にあったことも書いてあるからかな。トランプ政権と合わせて色々思うことがあり、興味深かった。主人公が最後に選んだ道の先にはきっと、幸せがあるはず。トムハンクスが演じると知らなくても、トムハンクスを思い浮かべそうな主人公だ。2017/02/12
ユーカ
28
現代の「ゴドーを待ちながら」には寓話要素はなく、極めて現実的。サウジの国王にホログラム技術を駆使した遠隔MTGシステムを売り込みに来た、委託契約のフリーランスコンサルと思われる主人公アラン。安全保持のためにスケジュールが掴めない王様の来訪を砂漠の地でひたすら待ち続ける。トランプ大統領が指示された米国の経済や産業の内情がアランを通して透けて見える。また個人レベルでも、起業すること、家族を養う重さ、年々低下するスペックとその自己認識とのギャップなどが非常にリアル。読者の年齢によって解釈に差が出る作品だと思う。2017/02/16
ジュール リブレ
26
読み始めてから知りましたが2017/2にトムハンクス主演で映画化とか。舞台はサウジアラビア。不思議な景色が広がります。文章を超える映像を眺めてみたいものです。坦々と続く悠久の時。そんな静かな一冊でした。2017/02/17