内容説明
ワシントンは血を抜かれすぎて死んだ。瀉血が信じられていたからだ。壊血病患者は重労働を課された。ビタミンCが未知だったために。ナイチンゲールの登場以降、医療効果を科学的に測定しようという試みは、2000年代、ついに代替医療へと──。鍼、カイロ、ホメオパシー他の最新の科学的評価とは? 知られざる逸話とともに語られる、代替医療の真実。『代替医療のトリック』改題。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
修一朗
106
鍼/ホメオパシー/カイロプラティック/ハーブ療法を代替医療の例として取り上げ,代替医療はプラセボ効果を上回らないということを「科学的根拠に基づいて」論じているが,代替医療を放置してきた組織を糾弾する第Ⅵ章が主眼で,自分が知りたかった内容とは違った。そのことは文庫本あとがきにあって,プラセボ効果の発生メカニズムはドーパミン,エンドルフィンなどの脳内化学物質の挙動と関係があるという。是非続編でカプチャクさんの研究を詳しく紹介して欲しい。自分は鍼や漢方薬は似た治療効果があると思っている。そこらへんも是非。2019/12/14
夜長月🌙@読書会10周年
51
この世にあふれている民間療法やサプリメントに治療効果や状態を改善する力はあるでしょうか。効果があるとしてもそれがプラセボ効果か否かの判断は重要です。「主流派の医師の大半が受け入れていない治療法」でも効果があると科学的に証明できるならば医療に取り入れた方が良いという公正な立場から検証しています。その検証方法はDBT(二重盲検法)と呼ばれ本書でその仕組みが詳しく説明されています。海外の事例が多く参考にならない部分もありますが、鍼(はり)やサプリメント、磁気療法などはほとんどのケースで科学的に否定されました。2024/09/04
kouheiheihei
32
「科学と意見という、二つのものがある。前者は知識を生み、後者は無知を生む」著者は医学の父ヒポクラテスの言を冒頭に掲げており、著書の指針となっています。「科学的根拠にもとづく医療」がどのように生まれ、鍼やハーブ医療といった代替医療は本当に効果があるのか、分かりやすく魅力的な文章で書かれています。個人的には、軽度な腰痛であれば整骨院やカイロプラクティックに行けば良い程度の考えしかありませんでしたが、著書ではメリット・デメリットについて、客観的に述べています。医療について考えさせられる良い本でした。★★★★☆2016/05/24
ikatin
32
登録400冊目は満を持してこの本を選ばせてもらいました。相変わらずの科学的な筆致で本作にも満足。臨床研究の手法に関してはある程度基礎知識があったので、多くの代替医療の無意味さ(これをあおるトップテン含む)にますます憤りを感じたし、通常医療にも問題があることを大前提としていることから、なおさら説得力がある。おそらく医療という言葉をつけるのがそもそも問題で、たばこと同じで嗜好品扱いとし、エヴァンズの言うようなラベル貼付を義務付け、税金を掛けまくるのが妥当。それでもトップテンの人々はさんざん文句を言ってのらりく2013/10/04
いちろく
31
この本によると、代替医療とは現代の科学では理解できないメカニズムで効果を表すとされる治療法であり多くの科学者や医師が受け入れていないモノ。興味深い点は、効果があるのか?安全面はどうなのか?について書かれている所。最終的な判断は、読者の一人ひとりに委ねられるけれど、情報の一つとして受け入れておく事は悪くないと思う。効果がない「代替医療」が存在する事も、効果があっても副作用が酷い「代替医療」が存在する事も事実なのだから。2016/04/02