内容説明
「女」と名のつくものはたとえ動物であろうと入れない、ギリシャ正教の聖地アトス。険しい山道にも、厳しい天候にも、粗食にも負けず、アトスの山中を修道院から修道院へひたすら歩くギリシャ編。一転、若葉マークの四駆を駆って、ボスフォラス海峡を抜け、兵隊と羊と埃がいっぱいのトルコ一周の旅へ――。雨に降られ太陽に焙られ埃にまみれつつ、タフでハードな冒険の旅は続く!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ヴェネツィア
160
村上春樹の紀行文は初読。それにしてもハードな旅だ。沢木耕太郎の『深夜特急』にも負けてはいない。ギリシャでは、アトス半島を海岸沿いにひたすら歩き、猫と一緒に黴付きパンに酸っぱい豆のスープを食する。トルコではクルディスタン最奥の地を行く。もう、プロブレムだらけだ。しかも、ちょっと間違えると帰っては来られないほどの。一見したところは軟弱そうに見えかねない村上春樹だが、なかなかどうして見事にタフである。2012/06/24
mura_ユル活動
139
久々の村上さんの紀行本。ギリシャとトルコ。それも辺境。写真などはほとんどなく文章に頼る。1988年9月ごろ、ギリシャから入り(4日間)、トルコへ(21日間)。ギリシャは宗教的聖地アトス、修道院巡り、歩いて回る。トルコは黒海沿岸、道無き道を車で。アトスの甘いルクミとコーヒーとウゾーの3点セット。最初は毛嫌いするも、徐々に受け入れる。トルコの食べるものの表現がとても良く、美味しそう。トルコの大変親切な人柄、紛争地域に近い殺伐とした雰囲気が伝わる。「旅行とはその土地の空気を吸い込むこと」。同行は写真家の松村氏。2017/04/06
ハイク
134
著者は紀行文を書くのが好きだ。世界の辺境地が特に好みだ。文明地から離れ環境、文化、宗教等特異な物や人々に好奇心を持っているからに違いない。場所はギリシャの辺境地アトス半島で、ギリシャ正教の聖地で女性禁制の地である。この地に外国人の異教徒が立ち入るには政府から特別のビザが必要である。もう一つはトルコである。車に乗って時計回りで国を一周する。トルコは西洋と東洋の間で種々の文化がある。「ただトルコに来てぐるっと回って土地の人々や姿を見てみたい」と著者は書いている。文章は面白く旅が魅力的であることを教えてくれる。2016/08/20
buchipanda3
109
ギリシャとトルコの旅行記。観光というより観光に不向きな異郷の地に入り込み、思いもしない苦難を敢えて体験して唖然となりたいという感じの内容で面白く読めた。当人は敢えてではないと言いそうだが。文章もコミカルなストイックさがあり思わずニヤニヤと。アトスというギリシャ正教の聖地の暮らしは未知なもので、さらに食事の寸評が意外と面白い。トルコ編もそうだったが、現地の人たちのとの何てことないやり取りからその地のリアルな空気感を味わえた。苦境な場所ばかり向かうのは小説の虚構の世界から現実へ著者自分を戻すためかもと思った。2021/06/19
抹茶モナカ
103
ギリシャとトルコの旅行記。旅への動機等の記述もないままにギリシャ旅行が始まって、「おや?」という感じがした。放り込まれた感覚で、村上春樹さんの本にしては不親切。ギリシャはハードな旅だったのが伝わって来て、トルコは食事情が改善されたせいもあるのか、色彩が感じられる紀行文。最後に奥さんと電話で話すシーンが、じんわりとして良かった。2015/07/15
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