文春新書<br> 予言者 梅棹忠夫

個数:1
紙書籍版価格
¥1,034
  • 電子書籍
  • Reader
  • ポイントキャンペーン

文春新書
予言者 梅棹忠夫

  • 著者名:東谷暁
  • 価格 ¥1,018(本体¥926)
  • 文藝春秋(2017/01発売)
  • ウルトラ電読フェア ポイント40倍(~7/24)
  • ポイント 360pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784166611065

ファイル: /

内容説明

戦後の論壇に颯爽と登場し、大胆な変化を次々と予言した梅棹忠夫。
その謦咳に接した著者が、彼の発言を多面的に読みなおし、その予言がいかにして実現していったのか振り返る。

<目次>
【プロローグ 実現した予言と失われた時代】
【第一章 「文明の生態史観」の衝撃】
異例ずくめの「出生作」/日本文化を機能論的に見直す/進歩的知識人からの批判・・・など
【第二章 モンゴルの生態学者】
京都町衆の生まれ/山登りで危うく放校に/京都学派と梅棹をつなぐ線・・・など
【第三章 奇説を語る少壮学者】
『モゴール族探検記』/激しい論争を呼んだ「妻無用論」・・・など
【第四章 豊かな日本という未来】
「ぼくはマルクスの徒です」/数十年後の日本文明を予測する・・・など
【第五章 情報社会論の先駆者】
情報の時代を生物学的に論じる/お布施の原理による経済学・・・など
【第六章 イスラーム圏の動乱を予告する】
「生態史観」は中東から/イスラーム原理主義の「伝染」/近代化とイスラーム・・・など
【第七章 万博と民博のオーガナイザー】
「万国博を考える会」の結成/グローバル時代論の先駆者・・・など
【第八章 文化行政の主導者へ】
文化を「開発」する/田園都市国家構想とその評価・・・など
【第九章 ポスト「戦後」への視線】
梅棹忠夫と司馬遼太郎/核武装の可能性による抑止/日本文明は終わりか・・・など
【第十章 行為と妄想】
見えないなりの知的生産/「あそび」と「学問」/文明史曲線の先にあるもの・・・など
【エピローグ 梅棹忠夫を「裏切る」ために】
思想家としての梅棹/あかるい虚無家/精神のキバ・・・など

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

壱萬参仟縁

33
トインビーの史観とは、世界には文明(社会)が誕生したが、それらは独自課題を克服しつつも、互いに衝突、影響を与え合った。この過程を挑戦と応答として論じた(22頁)。梅棹先生は京都西陣にお生まれになっている(37頁)。梅棹先生の豪放磊落ぶりは、院生で教授に立候補していた(71頁)。しかし、梅棹助教授は生物の講義で、セクハラ、アカハラをしていたとも読める(82頁~)。これでは現代の准教授はクビにされかねないだろう。梅棹先生は、経済学において、情報はこれまでまともに扱われてこなかったという(116頁)。2017/07/12

nizimasu

9
梅棹忠夫先生は個人的には「素人でも紙とペンがあれば偉大なものがかける」という私見には驚かされた。別に研究家でもないけれどその素人ならではというのが自分の仕事の中でも励みになったのも事実でスゴく個人的には共感できる存在。その足跡を辿りながら「文明の生態史観」だけでない本人の思想的な背景を探っていくのが本書の狙い。例えば情報化社会を予見していたと言えばそれもそうだけど、後半にでてくる文化事業に対する飽くなき変革に対する情熱みたいなものが興味深かったかもしれない2017/02/13

ドクターK(仮)

5
梅棹忠夫という名前や、彼の主著である「文明の生態史観」くらいは知っていたが、元々の専門である生態学のみならず、情報社会論からイスラム世界までありとあらゆる分野に言及し、国の文化行政にも積極的にコミットした人物だとは知らなかった。その知的好奇心と大胆な行動力には敬服するばかりである。しかも、どんな分野であっても、専門家に勝るとも劣らない説得力で議論を展開し、次々と予言を的中させてしまう洞察力もすさまじい。それでいて、「学問はたのしみごと」(p.259)と言ってのける肩肘の張らない人柄も魅力的である。2017/01/31

かりん

5
4:《距離を取った新たな梅棹評伝。》梅棹忠夫月間とテーマを定めた12月。ご本人の著書は再読ばかりで、新刊本は年末滑り込み。「預言者」というのはどうも納得が行かないけど、知らなかった話や忘れていた話がありました。個人的関わりがあり理解しつつも、その近すぎなかった距離を保って、梅棹万歳だけにしないようにしようという著者の意志を感じます。そういう評伝も良いと思う。印象に残ったのは、エントロピーと情報の話。有澤広巳。ナッシングor…? それにしても、文明の生態史観は36歳のときかぁ…。2016/12/31

S_Tomo🇺🇦🇯🇵

4
今年最初の一冊。半世紀ほど前に書かれ今尚読み続けられている「知的生産の技術」の著者で、異色の社会人類学者の梅棹忠夫氏について、直系の弟子ではないが少し離れた位置にいる部下だった筆者による「行為人」として梅棹氏について書かれた一冊。氏の驚異的な先見性の高さや、大阪万博から国立民族博物館の設立などの文化行政への精力的な関わりを見るに、これからという時に懇意にしていた政治家の死や梅棹氏自身の失明など、もういくばくかの幸運があれば今の日本の文化的な取り組みは変わっていたのではないか、と思うと実に残念なものがある。2017/01/06

外部のウェブサイトに移動します

よろしければ下記URLをクリックしてください。

https://bookmeter.com/books/11262375
  • ご注意事項

最近チェックした商品