内容説明
ローマ文明とキリスト教におおわれる以前、ヨーロッパの基層をなしたケルト人は、どこへ消えたのか? 巨石文化からアーサー王の伝説、現代の「ケルト復興」まで、フランス、ブルターニュの歴史・信仰・言語を軸に、アイルランド中心の「ケルト・ブーム」を問い直す。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
優希
109
ケルト民族の歴史とも言うべき1冊でした。ヨーロッパ民族の基礎となったケルト人はいつしか歴史からその名を消していたように思います。その理由とは何なのかを突き詰めていくと、ローマ文明やキリスト教にケルト人が取り入れられていったからだったんですね。古代から現代に至るまでの歴史・信仰・言語を軸にアイルランドを中心に考察したケルト民族。それは今にわかに注目されているケルトを改めて問うことに通じているのでしょう。2017/01/15
南北
58
ヨーロッパの中でもアイルランドやウェールズ、フランスのブルターニュ地方などに点在しているケルト文化を解説している本。「興亡の世界史」と言いながらわずかな痕跡しかないため、冒頭から民俗学的手法で語られているのはやむを得ないところだが、異論がありそうな気がする。キリスト教文化の中で異教的とみられる部分の中にケルト文化があることが認識できたのは収穫だった。2022/06/15
イプシロン
32
ケルトを知りたいなら、まずケルト以外を網羅的に知れ! そんなスタンスだけに、とにかくケルトを知りたいという人には回りくどく冗長で退屈だと感じる著作。しかし、著者の学術的探究の方法が、脱構築を用いた手法であると解る人なら、とても価値ある読書体験をもたらすだろう。普通、我々は知りたい事柄が書かれた書物から、知識を積み上げて物事を知る(足し算による探究)。しかし、この方法は現代的とはいえない。なぜなら、一部のジャンルの知識だけが増えすぎると、そのジャンルの知識は、かえって偏った極端なものになるからだ。2022/09/04
やいっち
22
アイルランドの作家たちに何処かしらケルト(の末裔)の匂いを嗅ぎ取ろうとしていた、自分の勝手な思いがあっさり覆されて、ちょっと残念に感じた。その意味で、ケルトというより、ヨーロッパに最初にやってきた人々の、キリスト教やギリシャ・ローマの思想や文化に影響され、呑み込まれる前の古層の文化の残響を辺縁の地などに見出そうというのが本書など、最新のケルト研究の意義なのだろう。いずれにしても、脈々たるケルトの水脈なんて、まして、ケルトの末裔なんて、夢の夢ってこと。2016/12/27
ルーシー
10
ケルトと聞くと幻想怪奇なスピリチュアルなものをイメージしていたが、それは「近代のケルト」で「古代のケルト」とは全くの別物であるということをこの本で知った。フランスのブルターニュ地方がケルト文化の中心というのも意外だった。イギリス・アイルランドの問題についても少し知ることができた。あんなに近い距離で何故揉めているのかと思っていたが、アイルランドとイギリス(というかブリテン島)では民族も言語も辿ってきた歴史も全然違うことがわかって、納得。2022/04/07
-
- 電子書籍
- 永年雇用は可能でしょうか ~無愛想無口…
-
- 電子書籍
- A+男子に囲まれて【タテヨミ】第70話…
-
- 電子書籍
- M.C.☆LAW 3 まんがフリーク
-
- 電子書籍
- 銀のヴァルキュリアス(6) まんがフリ…
-
- 電子書籍
- 銭(インチキ)の力で、戦国の世を駆け抜…