内容説明
直球のフーダニットとトリッキーなサスペンス、二本の中編を収録。驚愕の結末は、巻末に──。数々の不可能犯罪を解決してきた弁護士・森江春策。彼は幻の映画の上映会に招かれ、潮が満ちると孤島と化す地・天眼峡に建つホテル《月琴亭》にやってきた。しかしそこに集った他の四人は、それぞれ異なる理由で呼び出されたことが判明する。クローズド・サークルで起きた殺人事件に名探偵が挑む直球のフーダニット!(「月琴亭の殺人」)磯島健太が死んだ。いい加減なのに憎めない、わたしの元恋人が――。頼りない恋人を見切ってシングルマザーという選択肢を選んだライターの“わたし”は、妊婦が電車内でトラブルに見舞われて急死した事件を取材中、奇妙な違和感を覚えた。被害者女性の周辺では事故死が相次いでいるのだ。この不気味な事実に着目したわたしだが……。(「ノンシリアル・キラー」)2つのミステリが重なるとき、世界は反転する──芦辺拓、一世一代の大仕掛け!※収録しております「ノンシリアル・キラー」「解決編」は、電子書籍版収録にあたり、紙書籍版と仕様が異なる部分がございます。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ダイ@2019.11.2~一時休止
110
森江春策の事件簿その23。正統派の順に読破。折原さんの作品では何度か見かけた袋とじの作品。作中で探偵も言ってるようにアンフェアですけどこの内容なら仕方ない?。2017/01/18
aquamarine
86
「月琴亭の殺人」というクローズドサークルものと「ノンシリアル・キラー」というサスペンスミステリを表裏からどちらも途中まで読み進めると真ん中の袋とじが両方の解決編になっているという凝った作りです。一つのミステリを二つの別視点から追うのとどこが違うんだろう?と思いながら読み進めましたが、読み終わってみるとちゃんと違いました。○○的で賛否はあるでしょうが、伏線の張り方等はちゃんとフェアだったと思います。帯の「ただ瞠目せよ! 」という煽りは期待値を必要以上にあげてしまって勿体ないですね。2017/07/17
山田太郎
51
なんかいまいち文章が合わなくて読みにくい。おもしろくないわけでもないけど、生真面目な折原一というか倉坂鬼一郎のバカミスを真面目に書いたというか。おもしろくないわけではなかったけど。いまいち森江さんが名探偵に思えないけど。2017/02/20
coco夏ko10角
34
森江春策シリーズ。真ん中に袋綴じのミステリー小説は2冊目、やっぱりワクワクする。表から裏から、と著者の頑張りがすごい。月琴亭→ノンシリアルの順で読んだけど、逆読みの方が難易度が上がる理由がよくわからなかった…注目すべき人物が分かることでむしろ下がるんじゃないのかな?と思っても、もう自分には試すことはできないのもまた。2017/03/25
geshi
34
驚きまではいかなかったけど、なかなか面白い趣向。『月琴亭の殺人』はクローズド・サークルものとしての脆弱性が気になったが、それこそがミステリマニアの足元を掬う罠だったとは。『ノンシリアル・キラー』は事実関係の繋がりを見せるために、取材がうまくいきすぎている感じを受け、サスペンスの盛り上がりに欠けたかな。普通のミステリならばアンフェアのそしりを免れないが、表裏の構造で大胆にもそれを成り立たせてしまった点で評価できる。読み方によって難易度が違うというのも、よくできている。2017/03/24