内容説明
舞台は『ブラインドサイト』の7年後。現代随一のハードSF作家が、自由意志と神の本質に挑む。【新作長編『エコープラクシア』の序章となる短編】宇宙船〈テーセウス〉が太陽系外縁で異星の知性体と遭遇してから7年。地球では、集合精神を構築するカルト教団が不可解な動きを見せる。彼らの狙いを探る情報部のムーア大佐に、教団は予想外の情報を告げる――星雲賞ほか全世界7冠制覇の傑作長編ハードSF『ブラインドサイト』と続編『エコープラクシア』をつなぐ、予告編的短編。/カバーイラスト=加藤直之 *本書はピーター・ワッツ『エコープラクシア 反響動作』(創元SF文庫、2017年1月刊行)下巻の収録作を単体で電子書籍化・先行発売したものです。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
miroku
23
知性に意識は必要かを問うた前作『ブラインドサイト』。続編は超越知性としての神の存在を問う。2018/05/29
to_chan
14
ピーター・ワッツはこの作品を書いてる時は常に全裸だったらしい。これだけで大傑作は保証されている。吸血鬼とゾンビと超越知性たちが全力でゴキブリのような人間を否定するカタルシス。ゆえに浮かび上がる儚い存在。 超難解だが大丈夫! 解説に全部書いてあるぞ!2020/06/05
イツキ
9
自分の体に拡張を行なっていないただの人間であるダニエルの視点から見た超越知性たちの戦いは非常に難解でそして人類は時代遅れなのだということを訴えかけてくるようでした。ブラインドサイトからテーマとして言われている意識の不要論、そして自由意志は存在するのかという問いは容赦なく叩きつけられてくる印象を受けました。ニューロンは自発的に発火しない、自分でスイッチを入れることはできないと言われると反論はできませんがあって欲しいとどうしても考えてしまいます。2018/03/18
qoop
9
個人、人間性、意識など現行の人間を人間たらしめている主要素を捨象し、新たな要素を上書きした後の人間存在を探る思考実験的ハードSF。数々の超越的な人類亜種や宇宙生命を登場させつつ主人公を凡庸な人間とする物語/展開に疑問を感じながら読み進めたのだが、ラストで納得。SF的な小道具とその設定は見事に飽和していて、過剰なまでの詰め込み具合に、それでこそ!と膝を打ちたくなる。2017/05/29
銀河ヒッチハイカー
8
上巻読了後に「話が全然進んでいない」と書いたが、下巻と解説を読み終えてまったく読み込めてなかったことが露呈した。伏線や登場人物たちの行動理由がわかってくると、上巻でも激しく話が展開している事が理解できる。最新の科学を扱いながらも展開の仕方が懐かしいハードSF。2017/03/03