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内容説明
1895年。夏目漱石は俳句を教わるという名目で、結核が見つかり意気消沈する正岡子規を松山に呼び寄せた。子規が得意とする俳句を通して、彼を元気づけるために……。第一高等中学の同窓生である2人は、意見を戦わせながら新たな表現を模索した。本書は、そんな「文学者の友情」を描きながら、子規が俳句・短歌に持ち込んだ「写生」概念の成立過程を解説。また、子規が病床で描いた随筆『墨汁一滴』『病床六尺』『仰臥漫録』にも焦点を当て、そこに通底にする写実主義を読み解く。【目次】はじめに/第一章 子規、漱石に出会う/第二章 俳句と和歌の革新へ/第三章 従軍体験と俳句の「写実」/第四章 『歌よみに与ふる書』と「デモクラティック」な言説空間/第五章 「写生文」における空間と時間/第六章 「写生文」としての『叙事文』/第七章 病床生活を写生する『明治三十三年十月十五日記事』/第八章 生き抜くための「活字メディア」/終章 僕ハモーダメニナツテシマツタ/おわりに
目次
はじめに
第一章 子規、漱石に出会う
第二章 俳句と和歌の革新へ
第三章 従軍体験と俳句の「写実」
第四章 『歌よみに与ふる書』と「デモクラティック」な言説空間
第五章 「写生文」における空間と時間
第六章 「写生文」としての『叙事文』
第七章 病床生活を写生する『明治三十三年十月十五日記事』
第八章 生き抜くための「活字メディア」
終章 僕ハモーダメニナツテシマツタ
おわりに
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ドルフィンマン
23
正岡子規と夏目漱石の間で、どのような近代日本語の表現の水準が生み出されたのか記述されていました。2016/12/03
かふ
14
日清戦争に正岡子規は従軍記者だったが喀血してそれ以後病床の人となった。そして従兄弟の文学的盟友でもある古白藤野潔が自殺。失意の子規に励ましの手紙を書き、漱石と子規との手紙の交流は子規の死まで続く。子規は俳句のみならず、文章表現の革新をするために実作者であると共に批評家だった。当時子規が熱中したベースボールにあやかるなら「チーム」子規、それが「ホトトギス」という表現の場(フィールド)だった。選手でもあり監督でもある子規とエースで4番の虚子。打撃のセンスが光る3番碧梧桐とか。2019/03/19
はづき
14
壮絶を、活写し、乗り越えようとする子規と、それを精神的に支える漱石。日本の近代が生まれる一側面。2017/02/16
袖崎いたる
10
子規と漱石の熱い友情という近景と日本の文明化という遠景、その間に文学で現実を生活することが中景として描かれてる。西洋の文学論と同様に、子規においても重要なのは読者の側。絵画のように表象を写す写生の技法というのも、その場合作者と読者の間とを交通しうる同一の言語内的な記号性の仮託かもしれない。そしてその交通可能性を鍵語にしてみると、子規がメディアの人間であることで、彼が近代化における思想の流通可能性へと期待を寄せていたこととの関連を窺うことできる。とはいえ漱石への子規の文学的影響作用については密度低し。残念。2016/12/04
nnnともろー
5
この二人に、秋山兄弟はどうのようにからんだのだろう。2016/11/22