幸福はなぜ哲学の問題になるのか

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幸福はなぜ哲学の問題になるのか

  • 著者名:青山拓央
  • 価格 ¥1,760(本体¥1,600)
  • 太田出版(2016/12発売)
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  • ISBN:9784778315351

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内容説明

幸福とは何か。
いかにして幸福になるか。
そして、なぜ幸福になるべきか。
幸福とは何かを、ただ一つの答えがないことを含めて、
読者とともに考えていく本。
お仕着せの幸福論に、満足できなかった方に。
[出版社より]
■本書は以下のように語り起こされます。
「「幸福とは何か」という問いへの答えは、それがどんな答えであろうと反発を受けることが避けられません。断定的な答えはもちろん、幸福とは人それぞれのものだといった答えでさえ、批判を避けられないのです。
 その理由は、「幸福」という言葉が多義的でありながら、他方でその多義性を自ら打ち消し、私たちを均質化しようとする奇妙な力をもっているからです。」
■幸福という言葉を使わなくても、「いかに生きるか」「今後どのように生きていけばよいか」、と思い悩むのは、青春期に限らず、誰にとっても親しい経験です。
■巷にあふれる「幸福論」は、どこか得々として、幸福やその処方箋を語ります。その自信に満ちた語り口にもう一つ説得されない、信じがたい、という人はありませんか。
■宗教も心理学も脳科学も、あの手この手で「幸福」を語ります。しかし、説得されない、それでもなお幸福について考えてみたい、そういう人は多数いらっしゃるでしょう。
■本書は、真に哲学的な、期待を裏切らない、熟読に耐える幸福論です。
■幸福を論じる三つのポイント、「幸福とは何か?」「いかにして幸福になるか?」「なぜ幸福になるべきか?」──これらを丁寧に論じていきます。
■永井均氏門下であり、著書『分析哲学講義』や大森荘蔵『物と心』文庫解説に見られる明晰な文章とシャープな読解で知られる著者は、今後の日本の哲学界を担う注目の存在です。
■本書は幸福について、哲学の立場から論じる本であり、幸福とは何かを──なぜその問いに十全な答えがないのかを──読者とともに考えていく論考です。
■議論はあくまで平易に、また、以下の著作(*)を縦横に論じ、哲学ならではの冷静さを保ちながら、読者が「幸福」という概念をめぐる落とし穴に気づくよう、確かな手掛かりを与えます。
■生きることの目標は、「賞賛されるべき人生ではなく、祝福されるべき人生を生きる」ことです。
(*)『ラッセル幸福論』/アラン『幸福論』/アリストテレス『ニコマコス倫理学』/トマス・ネーゲル『コウモリであるとはどのようなことか』/永井均『マンガは哲学する』/ジョゼフ・エブスタイン『嫉妬の力で世界は動く』/ジョン・カバットジン『マインドフルネス:ストレス低減法』/柏端達也「幸福の形式」(『応用哲学を学ぶ人のために』)/デレク・パーフィット『理由と人格』/池谷裕二『単純な脳、複雑な「私」』/石井光太『絶対貧困』/阿部彩『子どもの貧困 日本の不公平を考える』/戸部けいこ『光とともに…??自閉症児を抱えて』/赤塚不二夫『天才バカボン』/トルストイ『アンナ・カレーニナ』/手塚治虫『火の鳥』/平山修『美しい国ブータン』/松尾義之『日本語の科学が世界を変える』/大竹文雄他『日本の幸福度』/デレック・ボック『幸福の研究』/ジョナサン・ハイト『しあわせ仮説』/吉川浩満『理不尽な進化』/古今亭志ん生『びんぼう自慢』/キース・リチャーズ『ライフ』/デール・カーネギー『人を動かす』/羽生善治『大局観』/ミラン・クンデラ『可笑しい愛』/中山康樹『マイルス・デイヴィス』/野矢茂樹『論理学』/柳父章『翻訳語成立事情』/ミヒャエル・エンデ『モモ』/東浩紀『弱いつながり』/アンリ・ベルクソン『意識に直接与えられたものについての試論』/千葉雅也『別のしかたで』/入不二基義『足の裏に影はあるか? ないか?』/大崎善生『聖の青春』/末井昭『自殺』/中島義道『不幸論』/ウィトゲンシュタイン『哲学探究』/ロバート・ノージック『アナーキー・国家・ユートピア』/児玉聡『功利主義入門』/坂口安吾『堕落論』/筒井康隆『モナドの領域』/九鬼周造『偶然性の問題』/入不二基義『あるようにあり、なるようになる――運命論の運命』/佐々木敦『あなたは今、この文章を読んでいる。――パラフィクションの誕生』/永井均+入不二基義+上野修+青山拓央『〈私〉の哲学 を哲学する』/筒井康隆『夢の木坂分岐点』

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

踊る猫

34
実に繊細に、かつ上品に著者は幸福という概念を腑分けしていく。幸福を語る言葉がうさん臭いのはぼくの印象では「わかった者」が「わからない者」へお説教・御高説めいた言葉を垂れてしまう上下関係が必然的に生まれうるところだと思っている(もちろんこれはある種「不可抗力の事由」でもあると何ら皮肉を込めずに素直に思う)。そうした「上下関係」とそれに伴う「暴力性」「説教臭さ」を回避する穏やかな語り口に惹かれ、自分自身もこのヌエのような「幸福」という概念について考えてしまう。いや、概念に振り回される「誤読」はいけないのだけど2023/12/30

テツ

17
人はみな幸福になるために生きているなどと簡単に言うけれどそもそも幸福とはどのようなものなのか。全ての人間に適用できるような絶対的で普遍的な幸福の形というものはどうやら存在しないようだけれど、それならば自分が目指すべき幸福とはどのようなものなのか。いや。そもそも瞬く間に終わってしまう短い人生を幸福などという不確かであやふやなシロモノを追い求めて消費してしまうことが本当に正しいのか。幸福の形もそれに至る道程も対峙の仕方も自分独りで探し出し創り上げなければならない。そこに至るには哲学的な思考のプロセスが必要だ。2022/12/15

ほじゅどー

12
★★★★幸福とは何か?という問いへの答えはそれがどんな答えであろうと反発を受けることが避けられない。断定的な答えはもちろん、幸福とは人それぞれのものだといった答えでさえ批判を避けられない。その理由は「幸福」という言葉が多義的でありながら他方でその多義性を自ら打ち消し私たちを均質化しようとする奇妙な力をもっているから。快楽説、欲求充足説、客観的な人生の良さ説という幸福三説のどれもが時として本当であり、一つきりでないことが人生に豊かさを与える。一方で、不十分な健康やお金は人を不幸にする。2017/03/12

ミズグ

9
読んでいると途中から論旨がむきだしの現実への耽美へ向かう、そこへ以前に読了した入不二、佐々木の著書との共振を感じる現実にここに自由意志はあるのだろうかと考えるうちにモナドの領域。2017/02/14

袖崎いたる

9
幸福について哲学者が考えることを、哲学者はあまり興味がない。というか人生論として哲学を語ることを好もしく思わない。本書で論じられる幸福問題は俗情に訴えるという構えを持っているかもね。筒井康隆的に。それを糸口にして幸福を哲学的に考えていく次第。著者は望まないだろうが処世訓を読み取ることもできる。それもありだがローティみたいに比較幸福思想の手立てとする方が楽しいかも。試しに約めてみると、「幸福が自己に対して時間を世界していることを思弁する快楽に浴する幸福」、な一冊。それと継続的注意断片化には警鐘を傾聴すべし。2017/01/12

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