内容説明
序 章 「水戸黄門」への旅立ち第1章 中国の名裁判官――物語と現実第2章 朝鮮の『春香伝』と暗行御史第3章 北条時頼から水戸黄門まで第4章 英雄伝説と神話第5章 巡遊する王第6章 芸能とスパイ第7章 「黄門漫遊記」の誕生――歌舞伎と講談第8章 明治天皇と水戸黄門第9章 「黄門漫遊記」の発展――映画とテレビ終 章 水戸黄門の仲間たち
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Toska
13
水戸黄門とそっくりな物語は中国や朝鮮にもあったというだけでもう面白いのだが、それはほんのとっかかりにすぎない。中央集権国家における監察制度のあり方、貴種流離譚とマレビト、朝倉敏景十七ヶ条、旅する始皇帝、漂泊する芸能の民、講談の中の黄門漫遊記、明治・昭和両帝の全国巡幸などなど、該博な知識を武器に当たるを幸いなぎ倒すといった趣。政治・神話・芸能等々、「漫遊」というテーマにふさわしく話があちこちに飛ぶのだが、どこを読んでも面白いから文句のつけようがない。お勧め。2023/05/05
ぼのまり
3
水戸黄門はどこからどうみても創作時代劇であるが、登場する印籠の背景を中国の皇帝が使者に持たせた金牌などとの共通性や、地方行政の粛清するなど、密使、隠密的な行動パターンに見出すなど、興味深い論考です。2013/06/07
dokugokan1
1
金文京『水戸黄門「漫遊」考』は、水戸黄門の漫遊記の源流とその沿革を大きなテーマに据えて、中国の包拯もの、朝鮮の暗行御史のほか、王が各地を巡遊する各種神話、監察官やスパイに関する制度史などを幅広く考察する。もちろん、日本における講談の発展、ドラマ「水戸黄門」の沿革にも触れている。 各テーマはいずれも新しい発見に満ちていて、興味は尽きない。 文章も平易にして明晰で、しかも味わいがある。 ドラマ「水戸黄門」で印籠を出す演出を考えた人物が、中国や朝鮮の同種の説話を知らなかったことに、巧まざる偶然の一致を感じる。2021/06/22
Stella
1
半分まで水戸黄門とは直接関係のない公案小説や暗行御史、時頼廻国伝説、始皇帝をはじめとする中華皇帝の巡幸ときて「大丈夫だろうか」と思ってしまったが、それら東アジアにある同類系の物語を下敷きに、講談や映画、テレビと発展していく「水戸黄門漫遊記」の歴史を分析している。2013/02/13
釈聴音
1
黄門様が最後に印籠を出して事件を解決するという展開は中国や朝鮮に類話がある、だからこれは中国・朝鮮に起源があるものである…と、簡単に解決できないというのが面白いところで、実は「この紋所が…」というパターンは「水戸黄門」のテレビドラマで初めて(それもシリーズの途中から)用いられたものだという指摘は大変興味深い。「水戸黄門」ものにも様々なバリエーションがあったという点、大きな意味での「貴種流離譚」の一つと見なすことが出来るという論点など、サブカルチャー分析としても興味深い。2012/11/12
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