内容説明
大空に解き放たれた、川柳という名の千羽の鶴たち。遠い恋の思い出、愛する家族のこと、妻として母としての自分、日々の暮らしで生まれる心の葛藤を詠んだ「第一章 約束はまだ」。70歳まで現役で看護師として務めていた著者が医療現場で経験したこと、感じたことを、川柳というフィルターに通して、時に臨場感あふれる十七音として綴られた「第二章 靴の音」。平成8年開催の国民文化祭とやまの文部大臣奨励賞受賞作《立ち直るチャンスを呉れた平手打ち》が収録された「第三章 夢の途中」。
妻だからいつも味方と限らない
ひとつでは無力だと知る千羽鶴
立ち直るチャンスを呉れた平手打ち
それなりの秘話もあります皺の数
羽根ひとつ眠らせてあるノラの家
胸中のほたる温存して暮れる
天の川君を探してくたびれる
雪の白宥めることも知っている
人間を少しぼかして撮るさくら
家計簿がピタリゆっくり眠れそう