内容説明
卓抜な想像力の果てに広がる燦然たる10の小宇宙! 研ぎ澄まされた日本語。小説を読む愉しみを思い出させてくれる短篇作品集。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
ヴェネツィア
154
10の短篇を収録。いずれも多和田葉子らしい小説といえば、まあそうだ。言葉の連鎖が次なるイメージを作り出してゆくといった小説作法なのだが、それぞれはなかなかに個性的だ。戯曲のスタイルをとる「夜ヒカル鶴の仮面」や、ほとんどひらかなばかりで綴られる「ちゅうりっひ」。内的には「ころびねこ」や「胞子」が奇妙なユーモアを湛えた世界を描いてみせる。作品世界には、つかみどころがないし、主人公も概ね明確な像を結ばない。それでも小説として、くっきりと自立している。ある意味では「小説とは何か」がわからなくなるような小説群だ。2014/12/06
どんぐり
78
「頭の中の考え事がとぎれとぎれになってきて、時々はっとする言葉があると、喉が少しだけ湿って、そこの粘膜が透き通り、光が通った気持ちがする」という表題作を含む10編。ここには、言葉へのこだわりや感覚の揺れをそのまま物語の芯に据える多和田さんの文体の癖がある。ひらがなが奔流のように続く「ちゅうりっひ」、棺桶から人物が起き上がる舞台劇「夜ヒカル鶴の仮面」、ゴミと五味を重ねて世界の顔を描こうとする「捨てない女」。たまるものにこそ価値があると言わんばかりの断片の堆積は、読者の思考にも奇妙な胞子のように付着する。→2026/05/10
葵衣
12
多和田葉子さんの不思議な言葉遊びの世界はやはり面白い。そして外国への旅の描写もとても好きだ。お気に入りは、「捨てない女」「光とゼラチンのライプチッヒ」「ころびねこ」「チャンティエン橋の手前で」「夜ヒカル鶴の仮面」。2019/02/04
雨宿り
4
【か・仮面】こういう深長な短編集は好物だ。硝子片を踏んだかように、深く刻み込まれた感覚。@図書館2009/11/17
しぃ
4
★図書館★テーマは旅?シュールでリアル。矛盾、飛躍、疾走する言葉。振り落とされないように、思考をかき回されながらも共に旅をし、砂漠の歓楽街を抜け、千手観音と共にため息をつくのです。2009/07/30




