講談社文芸文庫<br> 砂丘が動くように

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講談社文芸文庫
砂丘が動くように

  • 著者名:日野啓三【著】
  • 価格 ¥1,023(本体¥930)
  • 講談社(2017/01発売)
  • 盛夏を彩る!Kinoppy 電子書籍・電子洋書 全点ポイント30倍キャンペーン(~7/27)
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  • ISBN:9784061976153

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内容説明

海沿いの砂丘のある町にやってきたルポライターの男が、少年に誘われ迷い込んでゆく奇妙な町の夜と昼の光景。超能力を持つ少年と盲目のその姉。女装する美しい若者。夜の闇に異常発生する正体不明の無数の小動物キンチ。刻々に変化して砂防林にも拘らず死滅へと向かう砂丘。現代人の意識の変容を砂丘の物質のイメージに托しつつ未来宇宙への甦りを象徴させる。第22回谷崎潤一郎賞。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

おたまじゃくしわきあいあい

17
言葉を駆使して「言葉に出来ない何か」を表現しようと試みた作品。言語が映像として立ち上がってくるような文章なのだけど、むしろ視覚的なイメージの想起を遮断させたほうが著者の世界に触れることが出来るような気がする。わたくしたちは、言葉でものを考え、言葉でものをはかり、言葉でコミュニケートする。しかし、それらは言葉に頼る分、どうしても言葉の外には向かっていかない。言葉による呪縛から、言葉を使って解放しようとした日野啓三の視線は、網膜が光を受け止めるこの次元世界より、はるか「向こう側」にあったのかもしれない。2015/03/11

Dalia Violeta

15
男が、砂丘のある街で途中下車するところから話は始まる。身動き出来なくなって死にかけた砂丘。それを蘇らせようとする人々。彼の描く人物や世界は、何処と無く「渇いている」が、混じり気が無く澄んでいて、創り出される世界は果てしなく美しい。そう、この本にも出てくる「砂」のように。風に煽られた砂粒、自由を奪われ内部からじわじわと侵食され死に向かう砂丘。ここでは砂が「生きている」。廃車の山の其処此所に止まるカラスの群れ。動かし難い沈黙。砂に侵食され始め傾いたアパート。私は彼が描く「都市感」が好きだ。2013/12/18

ハチアカデミー

15
C ウィルダネスの荒々しさと凶暴性の描写、絶対的他者としての自然の表現に関しては、凄まじい筆致である。人工的な方法によって風の流れを止められた砂丘を巡る物語は、四人の中心人物それぞれの見る、求める砂丘の姿が描かれる。人間は生きるために、自然を矯正し加工する。その人工的自然の中にさえ存在する野生を描いたのが『夢の島』であったが、本作では人為すら超越するより強大な自然の姿であった。語り手によって文章の人称が変わるなど、技術的にも凝っている。が、文体のある種の軽さ、人物の紋切り型など、作家としては好みではない。2012/08/18

風に吹かれて

11
目を閉じて、風のささやきに耳を傾ければ、自然は何かを語りかけてこないだろうか。太古、人は自然と交感できたのではないかと思う。あらゆるものに神=宇宙を見出し、畏れ敬ってきたのではなかったか。自然と対峙することが人間の進歩だったとしても、地球温暖化の中で、自然の中に命を得てきた生き物として、そろそろ本気で転換しないと・・・と思う。。。いろいろな思いを喚起する作品。2015/11/25

りー

8
話がファンタジーに転びそうで転ばない。転んでくれた方が個人的には嬉しかった。イメージとモチーフとメッセージの集合体のような小説。2016/01/16

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