内容説明
常に時代と対峙し、辛辣な批判精神と強烈な抵抗精神で戦い続けた著者の、文学的出発期の作品「鬼火」「ある午後の風景」「長助の災難」「桑の木の話」。行方不明の女を捜し彷徨することで生を繋ぐ“わたし”が、娼婦となった女と再会――敗戦後の混乱を鋭く凝視し絶望を再生に転化させる新たな出発を示した「黄金伝説」、他に「無尽灯」「雅歌」「雪のイヴ」など収録10篇。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
AR読書記録
3
「常に時代と対峙し、辛辣な批判精神と強烈な抵抗精神」はいいんだけどさぁ、それが自分に向いたときの態度がどうもいただけないんだよな。自分の欠点弱点はしょうがないと開き直ったり言い訳してみたり、また女の扱い方がモノと変わらなかったり(むかしのブンガクのなかの女は、亭主の言いなりの影の薄い妻か、奔放に男を惑わすファム・ファタルかの、2種しかいないみたいに描かれてることが多い気がするぞ)、んー、どうも納得いかねぇ。2014/10/15
あにこ
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石川淳というのはどうも捉えどころのない作家で、面白いのやらつまらないのやら分からない。今までもそう思ってきたが、この作品集では一層その思いが強まった。『鬼火』から『桑の木の話』にかけての前半作品は割と面白く、「やるやん石川淳」と内心評価した直後、手のひら返しで、そこからはただただ苦行であった。こんなにもつまらない読書体験って久しぶり。課題作文が与えられ、書くことは決まっていないが取り敢えずマス目を埋めようとしたときに垂れ流すような、まったく生産性のない文章からなる作品が後半は(偶然にも?)集まっている。2016/03/24
gkmond
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「名月珠」と「雅歌」に笑い、「いすかのはし」に物欲を刺激される。2013/07/29