新潮文庫<br> 浪漫的恋愛

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新潮文庫
浪漫的恋愛

  • 著者名:小池真理子【著】
  • 価格 ¥869(本体¥790)
  • 新潮社(2016/12発売)
  • ポイント 7pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784101440170

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内容説明

禁断の恋の果てに自殺した母。その記憶に囚われる46歳の編集者・千津は、編纂中のアンソロジーに「月狂ひ」という幻想短編を収録する許可を得るため、作者の遺族である倉田柊介のもとを訪れる。その日から、身も心も灼きつくすような恋に堕ちていくとも知らずに……。作中小説の世界をなぞるかのように、狂気にも似た恋へと誘われていく男女の、静謐なる激情の物語。『月狂ひ』改題。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ヴェネツィア

294
トリプル不倫小説。一つは小説内小説たる葛城瑞穂の『月狂い』における不倫であり、もう一つは主人公、千津の母親の不倫、そして当の千津自身の不倫である。『月狂い』は千津の不倫相手の柊介の父親の手になる小説であり、すなわち一世代遡った幻想小説として、本編を構造的に支えている。タイトルの所以はすなわち、ここにある。この作品に特徴的なのは、ヒロインの千津が46歳であることなのだが、まさにそこにおいてこそ恋愛小説が成り立つのである。恋愛はけっして若者の特権ではない。むしろ、成熟の後にこそ狂おしいばかりの恋愛が⇒ 2025/06/22

じいじ

112
小林秀雄自著の一節「小説の魅力は、自分を忘れ小説中の人物になり恋愛して、楽しむ…」を借りて、存分に満喫しました。主人公千津(46歳)が愛した建築家倉田柊介(49歳)に身を任せて不倫の恋に浸りました。柊介と同年代の仕事に燃えたころに遡って読んでみた。不倫だけに千津の夫への小波が頭を掠めましたが、柊介の千津を求めるひた向きな恋情は理解できます。夫への罪悪感に苛まれながらも、自分の意志を貫く純粋な千津に愛しい魅力を感じます。小池真理子の激しく狂おしい大人の恋愛小説を、自分を忘れて堪能しました。2018/07/21

優希

94
禁断の恋の故の母の自殺の記憶に囚われていながらも、恋するときは恋するものなのだと思わされました。身も心も灼きつくような激しい恋。記憶も年齢も拭い去るように狂気にも見える恋に堕ちていく姿は静かな激情そのものに見えます。危ないと思えるほどの甘美で美しい文章に酔いました。2018/01/09

らすかる

36
月の光を浴びて狂っていくような、道ならぬ恋。身も心もすり減らしてなお、求め合うような狂気じみた恋をしてゆく3人の女たち。主人公の千津は不倫の果て自殺した母のようになるまいと必死ながらも妻子ある男性に溺れてゆく。それがまた50手前の男女なんだな!千津も若くない自分がいい歳して恋をしてることを恥じている。でもきっと年齢なんて関係なく、くるときはくる!きてしまったらのまれてしまうのかもしれない。千鶴の気持ちも、千津に夫を奪われた倫子の気持ちもわかる気がする。一生に一度の恋。うらやましいです!2020/07/02

カナン

36
表題は「月狂ひ」のままの方が良かったのではないだろうか。失礼ながら何故このような陳腐なものに変更したのかが理解出来ず。頂き物ですが、個人的には女の欲深さや浅ましさ、男よりも後にピークを迎える性欲、何より恋という毒薬を飲み「女」以上に「雌」としての面を剥き出しにした作品は好みでなく、軽蔑や侮蔑の目で読んでしまうので、読後感は非常に悪い。しかしただ一点、「男から向けられた熱情を上回るほど、男を愛してはならない」という一行は満足した。不倫はしたければすればいいけど、美化して己に酔いしれてる女は正しく「月狂ひ」。2015/10/26

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