内容説明
全国の史跡の中でも人気のスポットとなっている銅像。しかし、その銅像がどのような思惑をもって制作され、またその制作自体がどのような経緯で行われていたかということは、あまり知られていない。とくに銅像文化が花開いた明治維新期の銅像建立秘話には、激動の幕末維新の背景にある矛盾が内包されており、意外な幕末維新史のアナザーストーリーを見出すことができるのだ。豊富な写真・資料とともに綴る、銅像の「新しい鑑賞手引き」。
■三澤敏博
1976年大阪生まれ。宝塚造形芸術大学卒。グラフィックデザイナーとして活動する傍ら、雑誌の企画や執筆などを行う。幕末史に造詣が深いことで知られ、主な著書として『東京「幕末」読み歩き』(心交社)、『龍馬77話』(アルファポリス文庫)、『江戸東京幕末維新グルメ』(竹書房)など。
目次
●本書の主な内容
はじめに
序章 銅像文化のはじまりは開国にあり
第一章 [東京三大銅像之壱]靖国神社の大村益次郎像
●大村像が立つ靖国神社と長州藩
●長州藩士・大村益次郎とは
●大村益次郎像の建設
第二章 [東京三大銅像之弐]上野公園の西郷隆盛像
●西郷の名誉回復にはじまった銅像計画
●西郷像の建立計画
●西郷像は似ているのか?
●西郷像が立つ上野公園
第三章 [東京三大銅像之参]皇居外苑の楠木正成像
●幕末維新と楠木正成
●楠木像の馬体を制作した紀州藩士
●楠木正成像の建立
第四章 銅像界のアイドル 二宮金次郎像
●二宮金次郎とは
●二宮金次郎像の誕生
●校庭に立つ二宮金次郎像
第五章 銅像の悲劇
●狙われた井伊直弼像
●引き倒された伊藤博文像
●戦争と銅像
終章 銅像の行方