内容説明
鳩山内閣の時に締結された日ソ共同宣言によってソ連との国交が回復し、シベリア抑留者の返還や日本の国連加盟などが実現した。しかしそれには、ソ連ばかりでなくアメリカの思惑や米ソの確執、それに何よりも自民党内の激しい権力闘争を克服しなければならなかった。同時に、「北方領土問題」はここから始まったのである。一九九〇年代以後に次々に明らかになった新資料を用いながら多くの謎を読み解き、日本外交の原型と可能性をも浮き彫りにする。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
入道雲
5
戦後から2016年初頭位までの、北方領土を巡る交渉の現場がよく分かる。 数々の資料や証言から、分かりやすく読める。 残念なのは、最後に今後の北方領土交渉や日露関係への提言に掛かるところで筆者が死去してしまい、未完であること。 過大な期待でロシアにしてやられた2016年末の安倍プーチン首脳会議も筆者に評価して欲しかった。2017/01/08
Yasuhisa Ogura
3
12月のプーチン大統領の訪日を踏まえ、1956年の日ソ共同宣言の内幕を描いたもの。最も重要な点は、もちろん北方領土問題。当然のように日本の領土であり、また一貫して4島返還を主張してきたのではないことが描かれている。当初、吉田茂首相などは、平和条約で放棄した千島のなかに択捉、国後が含まれるとしていた時期もあったのである。日ソ間の問題ではあるが、米国や日本の国内政治が大きく影響していることも描かれている。小説並みのドラマチックな内容に引き込まれた。2017/01/19
tenorsox
2
ソ連との国交回復に至るまでの鳩山一郎内閣による交渉の過程を、北方領土を巡る駆け引きを中心に振り返る。 既出の資料や要人の手記等をベースに、一定の時を経て各国政府が新たに公開した資料(本書の意義はこの部分が大きいようだ)の分析を加え、当時のやり取りをかなり細かく再現している。米ソ間の調整、政権内での権力闘争や「2島or4島」論争等で苦労する様子が生々しい。 加えて、導入部でそれまでの要点(樺太千島交換、日露戦争、ヤルタ会談等々)もわかりやすくまとまっていて、北方領土問題を根元から理解できる良書。2016/09/26
竹
1
年末に向け、日本をめぐる国際情勢で注目すべきは、アメリカ大統領選の行方と日ロ首脳会談だろう。日ロ関係を知るための良書だった。やはり歴史から学ばねばならない。戦後70年以上が過ぎて、この国の在り方、アメリカやロシアとの関係を見直すべき時がきているのではないか。そういう意味ではフィリピンに学ぶべきことは多いかもしれない。2016/10/28
おおい
0
大変わかりやすく理解でき、参考になった。プーチンの「ヒキワケ」発言のところで絶筆となっているのが残念、合掌。2023/07/06
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