内容説明
紐結び(テイクオク)の魔道師リクエンシス。紐を蝶結び、漁師結び、釘結びとさまざまに結ぶことで、幸福をからめとり、喜びを呼びこむかと思えば、巧みに罠をしかけ、迷わせもする。あるときは腹に一物ある貴石占術師を煙に巻き、魔道師を目の敵にする銀戦士と戦い、あるときは炎と大地の化け物退治に加勢する羽目になり、またあるときはわがままな相棒の命を救わんと奮闘し、果ては写本の国パドゥキア目指して危険な砂漠を横断する。コンスル帝国衰退の時代、招福の魔道師とも呼ばれるリクエンシスの活躍を描く、〈オーリエラントの魔道師〉シリーズ第6弾。/解説=池澤春菜
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
mocha
97
オーリエラントの魔道師の中でも人気のあるリクエンシスを主人公とした短編集。剣の使い手で豪放磊落な性格。その長い人生の折々のエピソードが収められている。重厚なタペストリーのように複雑に綾なす長編も素晴らしいけれど、短編ならではの小気味良さが味わえた。相棒のリコもいいキャラで『紐結びの魔道師』新シリーズにも期待大。2018/04/20
眠る山猫屋
74
湖沼地帯の夕暮れ、凍てついた孤島、砂漠の静かな朝。良い旅路を紐結びの魔道師リクエンシスと共に。紐を結ぶ事で招福し、惑わす彼が歩む道行きは、飄々としていて心地好い。まだ未熟な時代から、数百年の人生を経て若干枯れてきた時期まで、放浪を続ける彼には様々な出会いがあった。口煩い司書のリコを筆頭に。だからこそ魔道師の成れの果ての化物にならなかったのだろう。常に新たな発見を愛でるリクエンシスの物語をまだまだ読める幸せ。彼の魔法はささやかなものだけれど、ケルシュが語るように稀有。ニーナにもまた、会いたいな。2021/11/19
hirune
52
紐を結んで魔法をかける魔道師って個性的なファンタジーですね。見上げるような大男なのに、蟻にリボンが結べるってそれはほぼ超能力的な起用さ??何百年も生き続けていく魔道師ですが、いろんな人たちとの関わりが楽しく温かくちょっと切ない短編集でした。犬のコヨールが可愛かったので、もう少し活躍してもらいたかったな?2018/08/28
星落秋風五丈原
51
紐結びの魔道師リクエンシスに特化した短編集。長いスパンの中で伴侶を見つけるまでの話。やっぱり冒頭の話(『オーリエラントの魔導師たち』にも収録)のすっとぼけた感じがいい。2017/01/04
すがはら
49
表題作は読んだことがあったので、迷いつつ購入。国の興亡の中で疾風怒濤の人生が描かれる他の作品とは違い、こんな風に少しのドタバタを交えながら長い時を生きていくのが、本当は大多数の魔道師のあり方だったんだろうなあなどと、しみじみした余韻の残るお話。エンスが人生の終焉に向かう気分になっていたかと思いきや、ラストは突如生き生きと新たな生活と楽しげな未来を望ませる締めくくりで、気持ちがほっこり温まっての読了でした。2016/12/15




