内容説明
ナショナリズムは本当に危険なのか、現在語られている愛国心・愛国教育の危うさ、日本海軍の「愛国の作法」とは、陸軍教育と海軍教育の違いが生み出したもの、敗戦を招き悲劇を生んだ戦前の愛国教育の欠陥、戦後の日本が失ったもの…昭和初期の行き過ぎた愛国教育の失敗を明らかにし、再軍備論議等高まってきた昨今の「空気」に警鐘を鳴らす一冊。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ケイ
81
書かれた当時は第一次安倍内閣発足の頃。国が危機の時、例えば維新や戦後の時、民は国のために働く。大国になるにつれ、愛国心は消える。特攻は間違っていたが、国や家族のために自らの命を捨てた特攻隊員は紛れもなく愛国者だった。しかし、お前の死を無駄にしないと言った上官達はそれを忘れ、自らの責任をかき消そうとした。こんな上官を、そして指揮のできない上層部を作ったのは、その当時の海軍や陸軍の教育だ。教育の制度を変えてその結果ができるのは10年後だから、その修正にはまた時間がかかる。愛国とは何か、米国には学ぶものがある。2015/04/27
星辺気楽
4
日本海軍をちょっと美化しすぎじゃないのかなという感じはあるけれど、半藤一利さんの言葉は今の日本にとって大切なことばかり。 2014/06/13
ken ken
1
憲法改正に関し意見を異にする大和ミュ-ジ-アム館長の戸高さんと歴史家半藤一利さんとの著者。過去の悪かった面、素晴らしかった面、両方知ってこそ、愛国心のスタ-トラインである。という戸高さんの言葉。もっと勉強せねばと思わされました。2014/10/21
丸坊主
1
「戦後、この国の倫理観が崩壊してしまったのは、この国の戦後そのものが『命をかけた約束』を破った人たちによってつくられているからであり、また人々がそれを許してきたからです」(戸高氏)「無責任に無責任を重ねていった結果が、日中戦争であり、太平洋戦争だった」(半藤氏) 日清・日露戦争から太平洋戦争までの日本の失策に焦点を当て、歴史をたどっています。単に歴史ものにあたるよりも焦点がはっきりしていて、私には読みやすかったです。2013/04/19