内容説明
「色は匂へど散りぬるを 我が世誰ぞ常ならむ 有為の奥山今日越えて 浅き夢見じ酔ひもせず」と、仏教的死生観をいろは47文字に凝縮した「いろは歌」。平安の昔に作られ、日本人が愛唱してきたこの歌が、ポルトガル伝来の「カルタ」と結びつき、諺の頭文字を「いろは」順に並べた「いろはカルタ」になった。「犬も歩けば棒に当たる」「論より証拠」「花より団子」……。年輩の方なら馴染み深いこれらの諺には、たんなる教訓を超えた仏教的な思想が看取できる。本書は、禅僧にして芥川賞作家である著者が、軽妙にして滋味深い筆致で、「いろはカルタ」のことわざをもとに禅的な生き方・考え方を説いている。かわいい挿画とともに、心癒されて明日への元気が出てくるヒントが満載。福島県三春町在住の著者は、いま原発問題を中心に未曾有の大震災と向き合い、多くの情報を発信している。本書ではひととき重い気持ちを忘れ、禅の自在の境地に身をゆだねたい。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
マサトク
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文庫でも読んでしまった。軽くて良い。2017/02/20
Martini
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江戸「いろはカルタ」の諺を基に、禅寺の坊さんである作者ならではの解釈をはじめ、諺同士を相対させたり、ツナゲてみたり…途中、説教じみてて読むのをやめてた時期もありましたが…筆者が、アメリカの「独立時からの先住民から搾取し続けた国民性」「イラク戦争の不当性」「禁煙運動や行き過ぎた健康嗜好も金儲け主義的な欺瞞では?」との指摘、話の展開には唸らされました。2013/08/29
彩美心
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なかなか勉強になった。相反する趣旨の諺の中に拾う神あって安心した。特に好感がもてたのは「頭隠して尻隠さず」の説明だ。そのくらい迂闊なほうが愛敬があっていいとしている。いつもそんな体たらくの私にはうれしい言葉であった。2011/10/18
ちゅるふ
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外国向けに「禅のABC」とかあったらいいかも。2011/05/26
issy
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いろは歌留多48枚について、その成立の背景、意味の変遷から、仏教や禅の観点での受け止め方などをポップにカジュアルに書き綴ったエッセイ集的な一冊。この48枚に総体としての思想や主義などはなく「慈悲深い結果論の集合である」との評には思わず膝を打つ。2020/05/11