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内容説明
政治が乱れ、人の世が荒み果てていた時代、現在の人間に失望しつつも未来の人類に対して期待を抱き、人間の可能性に大きな信頼を持ちつづけた孔子。「論語」全訳・注釈を手がけた中国文学の碩学が二十篇五百章を自在に読みこみ、孔子の生き方と思想をわかりやすく解き明かす。「子曰く、仁遠からんや、我れ仁を欲すれば斯ち仁至る」。伊藤仁斎や荻生徂徠ら江戸の学者をはじめとする人々は「論語」をどのように読んだか。また、孔子が説きたかった仁とは何だったのか。諸国を旅して味わった失望や、弟子や民との対話を通して、孔子を語り、吟味する最上の入門書。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Francis
15
10年以上も積ん読して出口治明さんの「宗教と哲学全史」で孔子が取り上げられていたの読んでみた。実のところ私は孔子は封建主義に凝り固まった頑迷固陋な人間であると思いこんでいたのだが(^.^;いやはや、当時としては柔軟な思考をもった思想家であり、教育者でもあったようです。吉川先生いわく孔子は人間の可能性を信じており、楽観的であったとのこと。そのとおりのようです。日本では本国とは異なる解釈がなされ、それが独り歩きしたものが多いというのも驚き。孔子先生大変申し訳ありませんでした。近いうちに「論語」も読んでみたい。2020/05/24
ロビン
5
吉川先生によるラジオでの論語講義を活字にしたもの。荻生徂徠や伊藤仁斎、本居宣長などがどのように論語を解釈したかという話や、菅原道真や夏目漱石、福沢諭吉、ホーチミンや魯迅、周恩来らも論語をよく読んでいたであろうという話などが面白い。そういわれてみると「心だに誠の道にかないなば祈らずとても神や守らん」という道真の句も孔子の思想に影響を受けているように思える。 秩序が乱れ下剋上や裏切りが横行する騒乱の時代にあって、人間の可能性を信頼する理想主義を唱え続けた孔子と弟子たちの偉さがよくわかる一冊であった。 2019/04/08
かとうさん
3
人が人に対して残酷な扱いをしない為の価値基準を提示したんだろうと、読んでいて思ったから、嬉しい気持ちになる。吉川幸次郎先生の言葉を通して、孔子と弟子たちのやりとりが生き生きと蘇るよう。2023/09/11
こたつ
1
人生の糧となる金言ばかり。 「己の欲せざるところ人に施すこと勿かれ」 「学びて思はざれば則ち罔し、思ひて学ばざれば則ち危ふし」etc…。 吉川先生のラジオを聞いてみたかった。2012/01/25
骸骨
1
孔子『論語』を、ラジオで解説していたものを書き起こしたのが本書である。そのためか、あまり体系的ではなく、また論語の解説としては不十分になっている点も見受けられる。しかし、そのエッセンスとして、人間の可能性を信じることと、その可能性を発揮するために学ぶことの大切さに関しては、十分に伝えてくれる。孔子が現れた頃の乱れた時代背景や、孔子は実践主義だったこと、結局、孔子はその時代に悲観して亡くなったことなど、孔子自身の解説でもある。しかし個人的には、あまり嵌まれるとは思えなかった。変化の時代なのかもしれない。2015/03/04