内容説明
ちょっとヘルシンキへ行くので留守を頼む――。そんな置き手紙を残し、御手洗潔は日本を去った。石岡和己を横浜・馬車道に残して。その後、彼は何を考え、どこで暮らし、どんな事件に遭遇していたのか。ロスでのインタビュー。スウェーデンで出会った謎。明かされる出生の秘密と、父の物語。活躍の場を世界へと広げた御手洗の足跡を辿り、追憶の中の名探偵に触れる、番外作品集。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
KAZOO
152
文庫本最新感化と思いましたが、様々なメディアですでに発表されているもので、しかもファンブックのような構成です。若干期待過剰の人には残念でした、という感じです。まあ御手洗シリーズが好きな人にはいいのでしょう。私は昔かなり島田さんの本は読んだので、これらをきっかけとして読み直していこうかと思っています。内田康夫さんも読み直そうかとも思います。2016/06/09
Tetchy
127
本書は文庫オリジナルとして編集された作品であるが、収録作品は14~7年前と比較的古い話ばかりだ。従って収められている話では今日ではすでに実現されている物もあり、興味深く読むことが出来た。今では日本を代表する名探偵シリーズにまで成長した御手洗潔が逆にそれほどまで支持されるようになったのは事件のみに挑む彼の姿以外の素顔を折に触れあらゆる媒体で作者が語ってきたことが要因で地道なファンサービスの賜物であろう。一瞬で事件の構造を看破する天才型の探偵という浮世離れした御手洗潔に血肉を与えることに見事に成功している。2017/03/12
スパシーバ@日日是決戦
102
B (2016年) 2編の小説の評価は以下の通り「◎ 天使の名前」「〇 シアルヴィ」。(他5編は回想録の体裁をとっているため評価不能)。御手洗・石岡コンビファン向けとなっており、シリーズ全作を読破している人だけが堪能できる(一見さんはお断り!)。1994年1月にスウェーデンに発ち、ある事件の際にごく短期間帰国しており関係者からの依頼で将来再び帰国の予定があるという(実現すれば約20年ぶりの再会となる)。壮大なる謎と医学や国内外の歴史・社会情勢とがマッチしたときの破壊力たるや、それはもう凄まじいもんです。2016/08/12
chiru
81
御手洗シリーズのミステリーのない短編集。 まだ数冊読んだだけなので知らない事件が多いけど、もっと読みたくなりました。 中でも『天使の名前』は異色で衝撃的。 御手洗さんのルーツといえる外務省勤務の父親の、原爆投下直後の広島での体験談。 凄惨な光景を追体験してるような凄まじい描写が続く。 タイトルの「天使」とは、原爆と同時に産まれすぐに死んだ赤ちゃんと、亡くなった友人の5才の娘のどちらも指してる気がしました。 ほかの短編はほのぼのしたものばかり。 とても面白かったです! ★42018/03/22
NADIA
57
御手洗潔が探偵として解決した事件の短編集かと思いきや・・・ファンブックじゃん、これ!! 私はそういうファンじゃないから、彼の現状とか好みとか石岡さんの印象とか、本当にどーでもいい。確かに彼にはそういったファンが多くて、その種のファンレターは作者のところにたくさん舞い込むと思うのだけど。ただ、インタビュー編は大変リアリティがあって、ふとすると本当に石岡さんが実在しているような錯覚に陥った。前から思っていたけど里美ちゃんの文章やしゃべり方には、私も軽い不快感を覚える。2017/11/26