「愛」なき国 介護の人材が逃げていく

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「愛」なき国 介護の人材が逃げていく

  • ISBN:9784484082172

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内容説明

介護の人材が逃げていく――。2000年4月、介護保険法の施行によって“介護の社会化”が実現し、高齢者介護が家の暗闇から、社会という公の場に引き出された……はずだった。しかし、それから7年がたち、「社会全体で介護を支える」という介護保険の理念は、早くも崩壊しつつある。介護の社会化を支えるための人材、介護の担い手たちが、職場から急速に逃げ出しはじめたのである。離職率は20パーセント超。その事実に焦点を当てたのが、2007年(平成19年)3月11日日曜日、午後9時から9時45分まで放送されたNHKスペシャル『介護の人材が逃げていく』だった。(プロローグより)

本書では、番組をふまえて介護の人材に焦点を当てながら、なぜこのような事態に至ってしまったのかを探っていく。介護保険とはそもそもどのような制度なのか、そのどこが問題なのか、そして私たちは何を目指せばよいのかを、インタビューに応じてくれた多くの人々の言葉から、介護の現状を浮き彫りにする。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

シュラフ

24
2008年の出版なので古いのだが、問題の本質は変わっていないだろう。介護保険制度の維持のためには、人手と手間がかかる、そして人手の確保には金がかかるということ。ところが介護保険制度の全体収入には限度があるのだから、要介護者の増大に対応するためには報酬引き下げしかないという悪循環。介護保険制度単体で存続不可となれば、社会保障全体の枠組みの中で考えるしかない。短期的に考えれば報酬を引き上げが必要か。最近、国がすすめる健康施策というのは、国民全体の健康水準を高めて要介護者を出さないという方針ということだろう。2018/01/08

Humbaba

16
自分の仕事が正しく評価されない。それは、働く意欲を失わせるのに充分な理由となる。真面目にやっても適当にやっても評価が変わらないのならば、真面目に演る人は減っていく。そうなった時にほんとうに困るのはサービスを受ける側の人間である。そのような誰も幸福にならないシステムを続けていては、社会が安定しないだろう。2015/08/31

ほうき星

13
少し集計数が古いのが残念。しかし、根本的なものは変わらないようだ。人生は綺麗事では済まないが、自分は大丈夫だと思っている人が多いこと。そして、こうなるとは思っていなかったと。介護は老人ばかりではなく、若い人でも事故や病で必要な人が沢山いる現実。外国に比べ、大きく立ち遅れている日本。読んでいて憂鬱になった。日本はバランスが取れていない国だな。物が豊富でも暮らしやすくても、ちょっと押されたら、パラパラと崩れ落ちそうなくらいの危機感がある。2014/09/15

シン

8
当時介護業界で働いていたが、なかなかによく取材してくれてるなと感じた。2008/08/30

ぶんこ

5
「僕に介護保険制度を作らせてほしいんです。要介護度で人間を分けるのではなく、その人の生活嗜好とか人生を考えてプランニングして、その金額は支払われなければいけない。その為に税金を積み立てておく。病気だってそうでしょ。ガンだからこの治療というのが本来で、何歳だからこれだけ、というのじゃないはずです」これは、事故で亡くなった友人の葬儀で、悲嘆にくれる母親をみてワルをやめ、その後介護の世界に入り、デイサービスの施設長時代に評判となり、今は介護のソフトをパッケージ化して、立上げから提供する仕事をしてる人の言葉です。

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