内容説明
小中学校の通常学級で六%、全国で六〇万人を超えると思われる「知的障害のない発達障害児」。彼らを含む、すべての障害のある幼児・児童・生徒の自立や社会参加に向けた取り組みが、教育の場で始まっている。一人ひとりの教育上のニーズを把握し、学習面や生活面の問題を解決するための指導と支援を行う。これが特別支援教育だ。すべての親や教師、そして子どもたち自身が知っておくべきことを収めた現代の新基準の書。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
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26
特別支援教育についての基礎的な知識や、歴史、今現在の課題などが簡潔にまとめているだけでなく、特別支援教育について知る中で1番大切なことを要所要所で挟んでいるため、特別支援教育について知っている人にも知らない人にもぜひ読んでもらいたい一冊。辻村さんがおっしゃるように、障害児教育を推進するには、支援学校だけではなく通常学校も同様に、専門性の向上などを意識する必要がある。障害があるとかないとか関係なく、子どもたちによりよい教育を届けることのできるような現場を、職種なんか関係なくみんなで真剣に考えていけたら良いな2015/08/14
たつ
11
俯瞰的に幅広くとらえた切り口は入門書として良い!筆者の元気で前向きな論調にも好感!小中学校の通常学級に6.5%の割合で居るという発達障害の子ども達に焦点を当てながら、歴史と今までの流れを押さえ、現状をクールに語り、おおいに未来の夢と希望をのたまう!熱い! 私たちは今、優しい社会を築くために、学び、語り、出来ることを始めようよ! 未来は教育が創るんだよ!2016/07/31
絵本専門士 おはなし会 芽ぶっく
8
娘に頼まれて借りました。大学の授業の参考にするそうです。内容だけちゃっかり聞き出す母(笑)2023/03/11
epitaph3
4
障害観、歴史、システム構築、指導方法、自治体の取り組み、学術研究、そしてたくさんの課題まで。これ読めば、2013年現在の特別支援教育のことがわかる。多くの人に読んでもらいたいが、相当興味があるか、当事者の家族か、特別支援学級や特別支援学校の教師か、一定の方に限られてしまう。通常学校の教師こそ読んでもらいたいのだ。40年前辻村泰男が書いたこの言葉のために「これ以上に障害児教育を推進するには通常教育がもっと障害児に向き合って寄り添ってきてくれないと駄目だ」2013/07/24
tharaud
3
国連の障害者権利条約の勧告の中で「分離教育」と厳しく批判された特別支援教育。このままでよいはずはないが、単純に批判すればよいというものでもない。長年の歴史や、不十分な制度の中で奮闘してきた現場への敬意も忘れてはならない。どういう読者を対象にしているのかわかりづらい断片的な構成がやや読みづらかったが、基本的なことは理解できた。2023/01/28