内容説明
遺影となった女房が微笑んでいる。俺は涙を止められなかった――。郷里の長崎で知り合った俺と女房は東京で再会。初デート、同棲時代、結婚生活、漫画家デビュー、芸能活動、賭け麻雀で逮捕……。いつも傍で支えてくれた女房のいない毎日が、こんなに淋しいなんて。ひとりぼっちじゃ生きられんから、新しい嫁さんが欲しい……。自由人・蛭子能収が綴る前妻との30年。感涙の回想記。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
yoshida
146
蛭子さんは30年間連れ添った奥さんを随分若く亡くされていたんだと驚いた。51歳の生涯は短いと感じています。とても大らかで蛭子さんのギャンブルにも理解のある奥さん。いつも味方でいてくれていた奥さん。蛭子さん自身も奥さんは「家」そのものであり、最高の連れ合いであり、生まれ変わってもまた結婚したいと描いている。そこからの蛭子さんの再婚したいという自己矛盾に驚く。さらには後書きでの本当に再婚しましたに二度驚く。私の連れ合いは幸いに元気なので、まだ蛭子さんの心境は分からないと思う。色々な意味で驚かされた作品です。2016/05/05
kinkin
76
短い本であっという間に読み終えた。蛭子さんというとギャンブル好きというイメージが強くてたしかにそうなのだが愛妻家でもあったことを知った。 愛した奥さんが病院に運ばれて亡くなられてからその後についてが語られている。本中で奥さんのオッパイをいじりながらでないと寝られなかったと書かれていてそこが妙に蛭子さんらしくていいなあ。また賭けマージャンで逮捕されたこともあることを知った。それでも奥さんが支えてくれたようだ。タイトルのつけ方がとてもいいと思った。ヘタウマもいればウマヘタもいてまさに人間だもの。2017/01/26
ワニニ
64
ホントに自分に素直に生きているなぁ。あれだけ正直に行動できるのは、羨ましい。そんな蛭子さんと連れ添った奥さんは、素晴らしかった。蛭子さんだから、あの奥さんだし、奥さんあっての蛭子さん。亡くなって、あんなにも泣いていた蛭子さん。それなのに、婚活して再婚している蛭子さん…。まぁ、蛭子さんだからイイんだよね。東京乾電池のチラシで知り、マンガもけっこう好きだった。いつの間にかメジャーなタレントみたいになっていたけれど、あの味は変わらない。再婚しても、奥さん(元)、いつまでも見守っていると思う。2016/05/12
lonesome
44
正直、蛭子さんの再婚のニュースを観たとき、奥さんが亡くなった時あんなに悲しんでたのに!って思ってしまっていた。けれど、「すまん。俺、淋しくってしょうがないから再婚するけん。やっぱり、ひとりではとても生きられんよ。次に生まれたときは、またお前と一緒になるけん。よかと?」という言葉を読んで、なるほど、もしかしたらあまりに喪失感が大きいとそう考える人もいるのかもしれないなと感じた。死んだらきれいさっぱりなくなるだけという蛭子さんの死生観に、意外な一面を見たような、でも辻褄が合ってるとも言える気もする。2016/05/25
ミスターテリ―(飛雲)
40
「男たるもの、結婚して家庭を持った以上は、家族抜きで自由気ままに遊んじゃいかんというのが、俺の持論だ。家族が邪魔なら、結婚なんかするべきじゃない。」蛭子さんの言葉が胸に響く。しかしそう書いたあとで、後半は嫁さん探しに奮闘する。寂しさのあまりすぐにでも再婚したいと、自分の漫画のファンの女性達をなんとか口説けないかと実際に行動する。最愛の人がそばにいるときは全身全霊で愛するが、一人になると寂しさのあまり次の愛を求める。まさにこれが蛭子さんのヘタウマな愛であるが、しかしこれこそが本当の愛情のような気がする。2024/01/06