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内容説明
二十世紀後半の混沌たる現実は、自然科学と平和が対象のはずの賞を「拡張」させた。大恐慌、世界大戦、東西対立、欧州統一、共通通貨……。多くの知性が熱い議論を交わし、相対立する政策が提起される。受賞を後悔したミュルダール、デモ隊に乱入されたフリードマン、投機に足をすくわれたマートンとショールズ……彼らは何を語り、何を見ようとしなかったのか。半世紀近くにわたる歴史を一気にたどり、将来を展望する。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
KAZOO
136
根井先生のグループがノーベル経済学賞の過去からの受賞者とそのエッセンスを紹介したもので、入門書的に読むといいのでしょう。受賞者の偏りが見られるということですが、この賞の性格からするとしょうがないのでしょうね。筑摩選書の2冊本に比べるとややあっさりしすぎているかなあという感じがします。どこかの国の首相のようにノーベル経済学賞受賞の学者が言ったので、消費税をやめるとか言う人がいるので霊験あらたかな賞なのでしょう。2017/02/08
壱萬参仟縁
36
本書からは、2人のエコノミストに注目したい。ミュルダールとセンである。ミュルダールの名声を高めたのは、1930年『経済学説と政治的要素』。経済理論から価値判断を取り除くべきだとしている。が、後年、明示的に価値判断をはっきりさせるべきだと主張。開発問題に触れ、純粋な経済問題でなく、社会のあり方と密接不可分と感じたためらしい(59頁)。これは正しい。社会科学としての経済学ゆえに。不純物こそが社会なのだ。専門分化して弊害もある。タコツボ、専門バカといわれるゆえん。2017/02/19
Piichan
10
ノーベル経済学賞を通して敷居の高いイメージのある経済学をわかりやすく説明しています。経済学は社会が低コストで効率的に運営されるためには欠かせない学問であることがよくわかりました。ノーベル経済学賞への関心の低さは、正式なノーベル賞でないことや受賞者がアメリカやヨーロッパに偏っているほかにも、メディアが経済学をわかりやすく伝える努力をしていないことが要因として挙げられるのではないでしょうか。2017/11/07
渓流
5
相反するが説が同時受賞するなんて自然科学では考えられないが、それがまかり通る経済学は科学ではないとの批判はずっとある。その経済学の「ノーベル記念スエーデン国立銀行賞」の歴史をコンパクトにまとめた格好の概説書。2016/12/03
クレストン
2
Kindle版で読了 経済学史が専門の方々によるノーベル経済学に主軸を置いた経済学史の本。大きく4章にまとめられている。各人のバックグラウンドというよりは理論の背景などに主軸が置かれていると感じた。人となりを知りたいのであれば別本を推奨。2024/11/09