内容説明
浅草は田原町で小さな古着屋を営む喜十は、北町奉行所隠密廻り同心の上遠野(かとの)のお勤めの手助けで、東奔西走する毎日。店先に捨てられていた赤ん坊の捨吉を養子にした喜十の前に、捨吉のきょうだいが姿を現した。上遠野は四人の子どもも引き取ってしまえと無茶を言うが……。日々の暮らしの些細なことに、人生のほんとうが見えてくる。はらり涙の、心やすらぐ連作人情捕物帳六編。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
新地学@児童書病発動中
112
江戸で古着屋を営む喜十を主人公にした連作小説の2作目。江戸に生きた名もなき庶民たちの生活を、陰影深く描く宇江佐さんの筆が冴えわたっている作品。ほろ苦く、温かで、どこか懐かしい。この小説の世界にずっと浸っていたいと思わせる作品だった。喜十が養子にした捨吉もこの巻では活躍し始める。「あよ」(おはよう)「たつ」(ふたつ)などと舌足らずの言葉で話すのが、本当に可愛かった。題の「雪まろげ」は雪だるまのこと。雪だるまのようなはかないものは、自分たちの暮らしには関係がない。喜十の妻おそめはそう言う。(続きます)2018/01/25
じいじ
88
江戸・浅草で古着屋を営む喜十夫婦の物語・第二段。子供に恵まれなかった夫婦に、お天道様から乳飲み子・捨吉を授かります。お陰で夫婦喧嘩も、たちどころに収まるようになりました。私は連作短篇の第一話が好きです。兄弟姉妹5人の14歳の長男坊・新太の心意気には頭が下がります。寒い毎朝、早起きしてシジミ獲りに精を出し、それを売りに歩きます…。宇江佐さんの小説には、たくさんの「愛」が埋まっています。2023/03/14
ふじさん
87
古本屋喜十為事覚えシリーズ第二弾。「落ち葉踏み締める」では、捨吉の身元が明らかになると同時に、捨吉の兄貴の新太が母親を殺し、自らも大川へ身投げして死んだ悲しい事実が語られる。最後の「再びの秋」では、捨吉の兄や姉の消息が分かり、喜十や上遠野の力添えで兄姉は幸せな結末を迎える。日々の市井の人々の暮らしの些細なことに、人生が垣間見える作品。心やすらぐほのぼのとした人情捕物帳。 2021/07/30
ふじさん
66
古本屋喜十為事覚えシリーズ第二弾。古着屋を営む喜十は、隠密廻り同心の上遠野のお勤めの手助けで、東奔西走の毎日。「落ち葉踏み締める」では、捨吉の身元が明らかになると同時に、捨吉の兄貴の新太が母親を殺し、自らも大川へ身投げして死んだ悲しい事実が語られる。最後の「再びの秋」では、捨吉の兄や姉の消息が分かり、喜十や上遠野の力添えで兄姉は幸せな結末を迎える。日々の市井の人々の暮らしの些細なことに、人生が垣間見える作品。心やすらぐほのぼのとした人情捕物帳。シリーズ化は、宇江佐真理の死で終わりとなったのが残念。2026/04/25
shizuka
63
捨て子の捨吉を養子にしたところで終った前作。本作は捨吉の家族の話から始まる。貧乏子だくさん。母親は鬼畜。そんな母親に捨吉を捨ててこいと言われた長男・新太。せめていい人に貰われ、幸せになって欲しいと願いを込め、兄は古手屋の前に捨吉を置き去りにする。ひょんなことから兄であることがばれ、そこから歯車が狂い始める。新太の話はやるせない。新太が助からなかった分、捨吉はじめ他兄弟は幸せにしたかったのだろう。宇江佐さんの優しさが迸る。喜十が捨吉と二人だけで過ごすお話が好き。もうどこからみても親子。捨ちゃんは幸福の象徴。2017/02/04
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