ちくま学芸文庫<br> 英米哲学史講義

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ちくま学芸文庫
英米哲学史講義

  • 著者名:一ノ瀬正樹【著】
  • 価格 ¥1,210(本体¥1,100)
  • 筑摩書房(2016/10発売)
  • ポイント 11pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784480097392

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内容説明

英米哲学の諸潮流は、「経験」を基盤に据えるという発想に導かれている。それは、ロックやヒュームらの「経験論」を共通の源泉とするためだ──。ベンサム、J.S.ミルに発する「功利主義」。フレーゲとラッセルを先駆に、ウィトゲンシュタイン、クワインをへて現代に連なる「分析哲学」。パースが提唱しアメリカを体現する思想となった「プラグマティズム」。そして、ロールズやノージックらの「正義論」。本書は、こうした英語圏の哲学的系譜を、経験論を基点として一望のもとに描き出す。主要哲学のつながりを明快にとらえる、入門書決定版!

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

南北

22
イギリスやアメリカの哲学で主流となっている功利主義や分析哲学の潮流を概観し、主観的な確率に基づくベイズ主義までの流れを記述したものです。功利主義というと利己的な印象があるため、「公益主義」という人もいますが、著者は「大福主義」という言葉を提唱しています。功利主義と分析哲学に共通するのは経験論ですが、経験論のいう「経験的」とは「努力し試みることの中において」という意味であり、知識と行為は連続して捉えるべきプロセスであり、「程度」を常に意識しているので、量的測定を志向するという特徴があるようです。2019/05/17

masabi

20
経験論をベースに功利主義と分析哲学、その変遷を辿る。真理や善といったものに到達することは原理的に不可能であり、できることと言えば試行錯誤を通じてベターな仮説・選択肢を吟味していくことの他ない。この態度は哲学史の基本的な態度でもある。不確実性や因果性へと問題が収斂していくにつれて理解度もあやふやなものになっていく。本書では経験の意味を試行錯誤することと捉えるのだから、不確実性を前にしてもなお哲学を高めるのは有意義なものなのだろう。2016/09/19

34

16
経験論という言葉は多義的で、そもそも哲学において経験論に反する立場は可能ではない、みたいな問題もある。知識というものの性質が歴史的に成立し、そのことの根源に遡ろうとする思考は、考え方(形式)において経験論的だけれども、主張(内容)において反経験論的になる。またカントやウィトゲンシュタインのような形式主義的な哲学を所与と認めたとき、経験論の可能性がみずからに反して解放される。こういう哲学史の問題にかならずしも自覚的な本ではないが考えるヒントはふくまれている。2020/09/21

うえ

9
英米哲学を網羅した良書。ジョン・ロックの専門家らしく、ロックに二章が割かれているが、概ねバランスよく記述してある。レベルも高い。ただよくわからないのは、ウィトゲンシュタインの語りえるもの、語りえないもの、という二世界説は「ショーペンハウアーの言う表象としての世界と意志としての世界…とおおよそ対応していることは明らかである」という部分。知らん間にそういうことになってたのかいな?2021/04/09

遊た(ゆうた)

9
解説書のわりには難しい内容だった。哲学の本だから多少は仕方のないことだとしても、もう少しとっつきやすい内容だったら助かったと思う。英米哲学が帰納法に基づいて思考する哲学であるということはなんとなくわかったが、細かい議論になると置いてきぼりをくらっているような感じがして少し退屈だった。英米哲学について書かれた本をこの次読むとすれば、英米哲学が成立した動機や条件についてもっと掘り下げたものを読みたいと思った。2018/08/08

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