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内容説明
上杉鷹山の「民の父母」、西郷隆盛の「敬天愛人」と一つにつながる藤樹の「孝とは人間すべてへの愛敬」。あらゆる権力から遠ざかり、純粋に民衆の中に身をおき民衆とともに生き、人間の心と行動の原点となるものをさぐり出そうとした魂の教育者藤樹のすべてを描き出した傑作長編。
目次
その男のこと
近江国小川村
処士への道
武士の変質
米子から伊予大津へ
“明徳”
風早郡奉行
桃源郷の実現
処士をめざす
事 件
“肱川あらし”
圭角の人
新谷藩行き
宇都宮拙斎
若い門人たち
大洲城大講義
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Makoto Yamamoto
13
41歳で早逝した地元近江の聖人中江藤樹の前半生。 子供のころから神童と呼ばれるほどの頭脳を持ち、養子にしてくれた祖父の郡奉行を書、学問をもって支える。 時代は大坂の陣が治まって、徳川の世界に移行する、武より文への転換が必要な時期。 幕府は朱子学を勧めるなか、中江与右衛門(藤樹)は大学から始める。 新領地の元水軍の頭須卜について学ぶが、祖父との間で事件が。。。 それ以降、与右衛門の性格が変わる。 藩主主催の講義を行い表向きは成功したようにみえるが。。。 この後は下巻に2022/02/10
芸術家くーまん843
6
中江藤樹は陽明学者であり近江聖人と言われている。その実は人と喧嘩はするし人の言動に一喜一憂するし意外と勉強好きの普通の人?当時は文字を読めるだけでも学があると言われた時代であり評価された。さらには中国の書を読んで研究。そういう意味では成功哲学が溢れている現代ならだれもが成功できる聖人になれる環境は整っている。桃源郷という理想の国では悪人がおらず他人のことを心配し合う国家で今の日本は桃源郷に近いのかも?外国から来た人でもお金がなければ生活保護で生活できる。桃源郷の日本が滅びないようにしたいなと思う一冊。2014/02/20
M
3
内村鑑三が挙げる代表的日本人の五人の内の1人である中江藤樹の人物小説であり、上杉鷹山同様、著者は童門冬二さんである。上杉鷹山は「民の父母」であり、中江藤樹の思想である「孝とは人間すべてへの愛敬」が後半から本格的に書かれていくだろうが、前巻はその序章であり、下巻が今から楽しみである。 2018/12/20
フジキン the 誤字ラ
3
☆☆★★★ 読むのに思ってた以上に手間取ってしまった(汗)。 小説、なんだけど、書き方としては司馬遼太郎の作品にちょっと近いかな?途中で、作者の解説がちょいちょい出て来る感じ。 で、なんかそれが鬱陶しい(汗)w。もうちょっと小説っぽく書いてくれた方が良かったかなぁ、。ある程度の解説は必要なんだろうけど。 それと、主人公が想像以上に魅力的じゃないwwなんか、付き合いづらそうな嫌なやつなんですが、、、 まだ上巻だから、これからどうなるかに期待したいところ。2015/05/01
Tomohisa Fujita
2
近江聖人と称えられる中江藤樹の物語。まずは上巻を読了。戦国の世から江戸時代に入り、家康により元和偃武が唱えられ、時代の変わり目に、武士の役割が大きく変化する中で学問を志す。立身出世の為の学問ではなく、本当の学問を求めて葛藤する藤樹の若かりし頃の物語。教えの軸が「大学」であることに共感。「個人の修養がそのまま、家を斉え、国を治め、天下を平らかにするという道につながっている」立身出世の為でなく、これこそが学問の目的と説く。自意識過剰になって悩める若き藤樹像も描かれている。下巻が楽しみです。2012/08/12