倒立する塔の殺人

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倒立する塔の殺人

  • 著者名:皆川博子
  • 価格 ¥850(本体¥773)
  • PHP研究所(2016/09発売)
  • ポイント 7pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784569677538

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内容説明

少女を殺したのは、物語に秘められた毒――戦時中のミッションスクールでは、少女たちの間で小説の回し書きが流行していた。蔓薔薇模様の囲みの中に『倒立する塔の殺人』とタイトルだけ記されたその美しいノートは、図書館の書架に本に紛れてひっそり置かれていた。ノートを手にした者は続きを書き継ぐ。しかし、一人の少女の死をきっかけに、物語に秘められた恐ろしい企みが明らかになり……物語と現実が絡み合う、万華鏡のように美しいミステリー。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

青蓮

112
作中作の二重ミステリー。戦時中のミッションスクールが舞台。美しい1冊のノートに綴られた「倒立する塔の殺人」。現実と物語が絡み合い、何処までが真実なのか読み手を眩惑する。コンパクトにまとめられた作品だけれど、大作を読んだかのような充足感があります。少女達の間で交わされる友情以上恋愛未満の微妙な感情、エスと呼ばれるそれが懐かしいような眩しいような。作中に登場する文学作品、音楽、絵画を私も味わってみたいものです。2015/06/10

naoっぴ

90
ピンク色の少女が描かれた表紙でYA小説。ということで軽く読める話かと思いきや、とんでもなかった。皆川博子さんの紡ぎだすストーリー世界は凄いなぁ!女学校の気高いきらびやかさと、終戦前後の過酷で混沌とした世情、そのなかで起きる女学生の死と失踪のミステリーが絡まり合った、謎に満ちた芳醇な世界。謎の真相にも驚くが、質量ある筆致で描かれる女学生たちのりんとした美しさや、愛と憎悪の一体感にため息が出る。物語の濃密なうねりはラストで鮮やかにかつ甘やかに収束。物語の構成、そのたたみ方まで素晴らしかった♡2016/12/07

あんこ

84
皆川作品は耽美でため息が出るほどに美しく、恍惚とする。読書の幸福。しをんさんの解説もよかった。手記、「倒立」、語りからなる作品だけど、一度はすべてが溶け合って錯乱する思いがしたが後半はすっきりとして、霧が晴れていくような感覚。「エス」小説の王道っぽさもあり、古典文学や絵画も織り交ぜてくるあたりが堪らない。少女たちとの別れが酷くさびしかった。2017/02/09

kana

83
入れ子細工のように『倒立する塔の殺人』という本の中に広がる謎めいた物語から、外側の物語へと、ラストにかけて畳みかけるように収束していく展開に、主人公と同様に気が狂いそうに。でも、だんだんと、心地よい気分になって、うっとりとする。想像以上に戦時下の女学校の様子が色濃く描かれていましたが、戦争描写以上に、少女であるが故の、歯止めのきかない激しい愛情と憎悪、そして悪魔のような閃きが恐ろしく、同時にその妖婉さが大変魅力的に感じるのが不思議です。恩田陸の『麦の海に沈む果実』のあの雰囲気が好きな人にぜひ薦めたいです。2012/08/29

NADIA

75
少女小説のような装丁。ふわふわしたストーリーを思い浮かべたが、舞台は第二次世界大戦中・後の東京。都立高等女子学校とミッション系の女子学院の生徒たちも、夏休み返上で学徒動員勤労令により兵器工場での勤務に就いていた。このあたりのことは知識としては知っていたが、実際にどのようなものだったのかは暗かったので、戦争中の学生生活を垣間見ることがミステリー本筋よりも興味深かったかも。やはりセレブ層が多いのだろう、交される会話がとても上品だし、ダンスや合唱など過酷な環境にありながらも優美な雰囲気がとても素敵。2020/01/16

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