内容説明
決して陥ちぬ天下城、それは築城家の見果てぬ夢。戸波次郎左は信長の夢を叶えるため、欧州に向かった。安土城を造った鬼才の血を引く男はイタリアで名を上げる。やがて大国イスパーニャの圧政に抗うネーデルラント人たちに請われ、彼らを守る鉄壁を手がけることに。愛しい妻子。異国で得た信頼。だが故郷日(ひ)の本(もと)はあまりに遠く――。佐々木譲が全ての力を注ぎ込んだ、大河冒険小説。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
カムイ
49
佐々木譲の作品は派手さないが一途なキャラクターに魅了される主人公の戸波次郎左の人生の物語、築城する上で石積は大事な部分である。史実を元に作者の技巧を屈した描写は西洋の城郭造りは臨場感たっぷりでした。ただ、傭兵の小三郎と勘四郎は不必要だったかもしれません。長編でしたが歴史の埋もれた人々をはばたせてくたのは人物を興味を持って読書が楽しくなる。ヤン、ヨウースデンにはすこし興味が湧いた。2024/03/30
鐵太郎
38
16世紀、日本の戦国時代末期に石積みで名高い穴太衆の棟梁の息子戸波次郎左は、織田信長の命により西欧の技術を習得して安土城を上回る城を築くため「天正遣欧少年使節」と共にヨーロッパへ旅します。この本は、彼が激動の西欧の時代の中で、ひとりの技術者としてどう生きたかの物語。ネーデルラント独立戦争を背景に物語は進み、歴史上名高いブレダ攻城戦がフィナーレとなります。この間、早くて5年のつもりで旅立ち、そこで老いて死を迎えた彼は、欧州で何を行ったのか。これは、緻密に組み立てられた見事な技術職人の歴史小説。いいね。2020/05/13
sayan
23
徳川家康、江戸を建てるにもつながるストーリー。佐々木譲といえば「警察小説」のイメージが強く、石積み=城造りの話とは全く想像しなかった。ヨーロッパに渡った主人公が現地に定住し、そして城をつくっていく。時折、日本での徳川家康との約束を思い出しながら、職人として研鑽を積む。土木系の話をエンターテイメント性高くする著者の筆力にびっくり。(個人的に土木等、技術系の話があまり明るくないため)某テレビ局のプロジェクトX的というよりは、プロフェッショナル的だなあ。2017/11/07
月をみるもの
19
佐々木譲が愛してやまない「歴史の影にいるテクノクラート」(←もちろんたんなる市井の人というわけではなく、当代きっての超一流の技術をもってるわけだが)。そのひとつの典型がここに描かれている。石積職人がローマに行ったという記録は残ってないが、歴史裏話として「アウグスチーノ」と入れ替えるという小技を使う。ここに思わず二マッとしてしまうのは自分だけではないだろう。ぎりぎりまで記録との整合性を詰めることで、フィクションの部分も「ほんとにこうだったのではないか」という説得力が出るのだ。歴史小説かくあるべし。2023/06/03
YONDA
19
天下城の続編となる今作。エウロパの石積み修行に出た次郎左。西洋の技術に触れ、自分の物にしていく過程は見習いから熟練の職人へと成長して行く男の一代記。自分がこの時代に生きていたとして、船で数年かかる異国に行き、生きていこうと決心できるだろうか。次郎左の「職人」としての熱い血が羨ましくもある。「いい仕事をした。」、この一言を聞き、次郎左は職人としての生を全うできた。2017/04/25
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