内容説明
1969年高校生も政治の季節を生きていた。
6年ぶりに連絡をとった冨士真生子は、ニューヨークでの生活を引き払い、3週間前に帰国したばかりだった。中南米を舞台に報道写真を撮り続けてきた彼女だったが、折から東日本大震災が起きると、旧交を暖める間も無く、現地に飛んだ。9か月にわたる取材成果を披露する会場に現れた彼女はすっかり痩せて、人生の重大な局面に立たされていることを感じさせるのだった。
真生子とは、いまから40年以上も前、高校生の時に出会った。当時学生運動の波は高校にまで押し寄せてきており、彼女は市内の女子高に通う1学年上の活動家だった。そして、15歳のぼくは、彼女に淡い恋心を抱いていた。
ぼくは綴る、彼女の命を見つめながら、悲しみと痛みにみちた青春の日々を、そして輝ける人生の瞬間を。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
terukravitz
4
図書館本★☆☆☆☆2019/05/09
Tadashi Totsuka
1
著者の盛田隆二さんは61歳、高校時代のベトナム戦争反対、日米安保反対の学生運動の嵐が吹き荒れるなか、高校生活を送り、学校の校則や受験の予備校のような授業などに疑問を持ち、学生運動にのめり込んでいく。その当時の仲間は、いろんな道を歩み、憧れだった真生子は、写真家となり、癌に侵され亡くなる。ジョーン•バエズのWe Shall Overcomeの抵抗の歌は記憶にあります。2016/11/11
Takeshi Kushimoto
0
高校紛争シリーズ,その3.紛争の様子そのものは一番よくわかったけど,小説としては・・・.解説も微妙.2020/05/25
麻亜
0
作者の半自叙伝ということで物語としてはそうでもなかったが、当時の学生運動というものに興味があったので、それなりに良かった。2017/08/12
Yoshldaのヨッチャン
0
世の中がどう動こうが、変わりなく湧き続ける泉のように、人の世は絶え間なく続いていく。滋養にとんだ新鮮な水が世の中を浄化して欲しい、が、真生子さんの思いではないのか。物語の時代に高校生だったら自分はどう動くだろうか。きっとノンポリでしかいられないのだろうな。2017/02/26