内容説明
誘拐、交換殺人、タイムリミット・サスペンス、そして妖しき恋愛。
著者のエッセンスが満載された最後の短篇集
高校二年生から三歳児まで、八人の子供と母親からなる家族の元へかかってきた一本の脅迫電話。
「子供の命は俺が預かっている。三千万円を用意しろ」。
だが、家の中には子供全員が揃っていた。
果たして誘拐された子供とは誰なのか?
連城ミステリーのエッセンスが満載された、最後のオリジナル短編集。
解説・香山二三郎
【目次】
「指飾り」
「無人駅」
「蘭が枯れるまで」
「冬薔薇」
「風の誤算」
「白雨」
「さい涯てまで」
「小さな異邦人」
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
KAZOO
155
文庫本になって再読です。香山二三郎さんの解説が非常に情のこもったものでこれを読むだけでも購入した甲斐がありました。やはり65歳でなくなられたというのは残念です。この短編作品集も8つのそれぞれに趣の異なる作品があって楽しめます。しかも意外な結末というのが楽しめます。最近もテレビドラマになっている作品が多いのですが、映像化に向いているのでしょうね。2016/10/27
shizuka
53
殺人事件だけがミステリーじゃない。浮気がばれるんじゃないかと猜疑心と自己嫌悪で悪い方へ悪い方へ考えてしまう「さい果てまで」。JR職員、みどりの窓口勤務の男と女。私にとっては夢の職場だが、そこで働いてるからこそある罠にはまっていく。トリックが分かれば些細なことなんだけど。思い込むと真実は見えなくなる。表題「小さな異邦人」短いながらも、二転三転。一致団結している家族の危機も描かれていてハラハラ。語り手の長女14歳!結末、これでいいの?と心配になる。これも時代か。他、夢が繰り返される主婦の独白。夢野久作みたい。2017/07/10
カノコ
43
連城三紀彦の遺作をまとめた最期の短編集。実はあまり期待していなかったのだが、著者らしさを存分に堪能できる粒ぞろいの作品集だった。何より、文章がいい。行間から匂いたつような色っぽさ、余韻、胸にしんと浸されるような静けさ。どれを取っても、連城の文章に他ならない。作品としては、表題作が白眉。八人の子どもがいる大家族の元にかかってきた誘拐の脅迫電話。しかし、子どもたちは全員家にいて…。同じ誘拐物の「造花の蜜」よりもこちらの方が断然好き。優しさもある逆転の発想による真相がひどく憎い。やはり連城は特別な作家だ。2019/10/11
ばんだねいっぺい
41
「戻り川心中」からこれを読むと同じ作者かと戸惑うものの(特に小さな異邦人の文体)、ページをめくる内にやっぱり、同じ人だとその書きぶりに安心する。 会社の冴えない者同士がみたいなパターンがある気がしたが、つい、身につまされてしまった(笑)好きなのは「無人駅」。でも、なぜ、これが好きなのかはわからない。2017/01/29
はな
33
街で離婚した妻に似た女を目撃する男。無人駅で怪しい行動をとる女。交換殺人を企てる女。同じ夢を繰り返す女。上司の物騒な噂が気になる女。いじめにあう娘と過去の事件に囚われている母。不倫男の前に現れる謎の女。男女の機微を美しい文章で丁寧に描いた大人のミステリ短編集。湿度を伴いずっしりとした読み心地で、読み終えては深いため息。そして最後の表題作は、誘拐犯から身代金要求の電話が来るが8人兄弟の誰一人欠けてない。誘拐されたのは誰?長女14歳のポップな語りで他の作品とは少し趣が違うが、かなり驚いた!誘拐ものとして傑作。2019/03/03




