角川ソフィア文庫<br> 高野聖

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角川ソフィア文庫
高野聖

  • 著者名:五来重【著者】
  • 価格 ¥880(本体¥800)
  • 特価 ¥440(本体¥400)
  • KADOKAWA(2016/09発売)
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  • ISBN:9784044085070

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内容説明

高野山を拠点に諸国を遊行した高野聖。彼らはいかに民衆に根ざした日本仏教を広め、仏教の礎を支えてきたのか。古代末期から中世の聖たちが果たした役割と、日本宗教の原始性を掘りおこした仏教民俗学の名著。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

やいっち

69
個人的には我が富山県が高野聖と意外なほどに関りがあると知って驚いた。というより、高野山の高野聖は信長や家康によって徹底的に痕跡を消されて、高野山といえば空海の金剛峯寺のイメージ一色となった。時宗は何処へ? である。が、富山(に限らないだろうが)など地方には、高野聖の痕跡が数多くの各地の祭りなどの形で残っているわけである。富山への認識を新たにした思いである。2023/11/02

南北

43
泉鏡花の描く道心堅固な高野聖とは違う実像を明らかにした本。寺院の再建などで「勧進」を行うため諸国を廻国するのが本来の仕事だが、身分が低い存在とみられていた。やがて宿坊や納骨、さらには戦国時代になると商人や隠密になることもあったようだ。行基や空海、西行などもこうした「聖(ひじり)」と考えると違った姿が見えてきて興味深く読めた。鎌倉時代の武士が出家しても地頭職を続けたり、高野山がかつては念仏が盛んだったりするところは歴史の新たな一面が見られたと思う。妻帯する現代の僧侶は昔の「聖(ひじり)」と同じなのである。2021/10/27

松本直哉

28
哲学的思弁や苦行だけでは宗教は庶民の心をつかむことはできない。庶民とともに各地を遊行し世俗の塵にまみれて妻帯し苦楽をともにする半僧半俗の聖は仏教を身近なものにしただけでなく、勧進という名の集金によって寺院の経済的基礎を支えた。高僧だけしか記述しない仏教史に逆らって、無数の無名の縁の下の力持ちの下級僧侶の群像を描く。空海や西行の漂泊も、親鸞の妻帯も、聖という補助線を引くとよくわかる。その呪術性や世俗性や遊行性や胡散臭さの点で、ヨーロッパ中世における魔女や占星術師と比べることができるかもしれない。2021/11/18

ジャズクラ本

22
◎初版は昭和四十年。浄土念仏と真言を併せもった高野聖の成立からその衰退までを、覚鑁、西行、重源、明遍などの主だった聖の所業を紐解きながら、この俗僧たちの実態を明らかにしている。そもそも私度僧なので玉石混交ではあるが、室町終盤以降の堕落ぶりは目に余るものがある。このあたりのことは街道をゆく_高野山みちにも詳しい。というか街道をゆくがこの本の終盤を参考にしたと、司馬も文中にふれている。何度読んでもよく解らないのが浄土念仏と真言の融合の点。これについては更に他の書籍にもあたってみたい。2021/01/02

ひさしぶり

20
高僧、学僧の唱える仏教ではなく、庶民に広く布教し支えてきた聖と民間仏教をみた。かなり濃い内容。高野山奥之院の墓石群、宿坊は唱導により納骨参詣を誘引し回国してしては野辺の白骨や委託の遺骨を笈にいれ運び、供養や納骨の為の高野詣や霊場観光の人の為宿坊を提供したのが高野聖。古代末期から中世に栄えた高野聖がほぼ根絶されたのは①世俗性が俗悪化した②念仏信仰の圧迫で真言に帰入。聖とは、苦行隠遁の掟の外は妻帯や生産など世俗生活を営み、集団で作善する。回国し勧進の手段として説教、絵解、踊念仏など唱導を行う。→2024/01/24

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