内容説明
文壇妖怪随一の才子で美男。本物の芥川を理想化したかのように、頭も顔もスタイルもオリジナルより上。彼が襲うのは小市民タイプで、芥川の夭折した年齢よりも年上の文士である。「どっぺるげんげるを見たら死ぬ」という俗説に付け込んで最初は本人そっくりの姿で夢に現れ、次第に美男から自殺前の芥川へと風貌を変える。……が、実は純文学を守る妖怪でもある。──(本文より)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
新地学@児童書病発動中
100
作家の笙野頼子氏が、文学論争に巻き込まれた経験を連作として書いた作品。題の「どっぺるげんげる」はドッペルゲンガー(自分の分身)のことで、それを見たと言われる芥川龍之介のことも出てくる。作者は勇ましく闘っている。小説は売れることが全てではない。売れなければ、商品として価値がないと言うは言いがかりだ。純文学の作品の中には、少数の部数しか発行されなくても、読み継がれていく作品もある。文章が読みにくいのが残念だが、でもこの突拍子もないユーモアは本当に面白い。何度も笑った。2017/06/20
miroku
9
大塚英志との文学論争にまつわる作品というあたりに興味があったが・・・。なんだかなぁ・・・。2013/05/16
rinakko
4
超前衛純文学作家「笙野頼子」が、純文学論争小説を書く為に急遽復活させた沢野千本。(めも 沢野千本: 二百回忌(この時は沢野センボン)、渋谷色浅川(表題作だけ1996年で登場2度目)、タイムスリップコンビナート、てんたまおや知らズどっぺるげんげる2019/09/17
ごーちゃん
2
怒りを載せているだけじゃなく、文芸作品として多重構造的な試みもなされているので混乱はするが読み込むと面白い2016/12/04
ハヤシマ
2
私は、読書を娯楽のためと考えていますので、この本はその目的にはそいませんでした。金を出して購入した本ではありませんので、後悔はないです。こういったジャンル本も存在しているということを知ったのはよかったかもしれません。表題作?の現実と妄想を行きつ戻りつしながら幻想的な感じになって行くところは、ちょっとわくわくしました。怒られそうですが、そういう方向の創作でしたら、お金だして買うかもしれません。あるいは、筒井康隆「大いなる助走」のようなものであれば、読んでみたい。2012/05/14