内容説明
母性社会に生きる日本人にとって『源氏物語』がもつ意味は、ことのほか大きい。そこには、人が自分の人生を回復させるのに欠かせない知恵が示されている! 母性社会に生きる日本人の課題図書! <この作品は2000年7月に刊行された『紫マンダラ』を文庫収録にあたり、改題、再編集したものです>
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Gotoran
40
“キリスト教を背景とする父性原理に基づく文明社会の現代に生きる人間として「個としての私」がどのような物語を生きるか、見出すか、つくり出すかという点で、『源氏物語』は、紫式部という女性が自分の物語を見事につくり出したものとして読み解くことができる”と著者は云う。主役は光源氏ではなく、光源氏と関わる(紫式部の分身としての)多くの女人たちで、光源氏は飽く迄彼女らを写す鏡の役割だと。深層心理学的見地から『源氏物語』の面白さ・奥深さや紫式部の魅力が如何なく引き出された良書。2014/10/29
えつ
14
Kindle Unlimitedにて。源氏物語を新たな?心理学的な?視点から読み解いているから、新鮮な感じがした。紫マンダラ、なるほどなるほど。って感じ。 ただ、これは電子より紙で読みたい本だったな〜。(2021年6月) また読みたいんだけど、図書館にもないし、電子で買うしかないんだろうか…(2024年2月)2021/06/29
misui
6
『源氏物語』を光源氏ではなく紫式部の物語ととらえ直し、心理学的に読んでいくことで現代人の個のあり方を問う。女性像を光源氏との関係において母・妻・娼・娘に分類すると、物語が進行して女性像が深まるとともに、女性は光源氏(異性)を必要としなくなる。ということは個としての存在に根を下ろすということである。人間が生きるには物語が必要であるとの観点から、(光源氏と女性との関係のように)人に与えられた物語を生きるか、それとも自分の物語を生きるか、千年前のものとはいえ現代に資するところは大きい。あらためて偉大さを知った。2010/11/04
昭和っ子
5
現代は男性に負けないほどの働きをする女性もたくさんいるが、その代償に女性ならではの本能やエネルギーを抑圧する事になってしまう。現代の女性のテーマは「父の娘」としてでない新しい生き方を創造し、人の生き方に潤いをもたらす事。そのためのモデルを源氏物語から探るという。これには多くの、男性との関係からでしか自分を定位できない女性が出てくるが、物語の深化とともに個として生きようとする女性の姿を模索しようとしているという。考え甲斐のあるテーマが提示されていると思う。源氏の現代語訳を宇治十帖から読んでみたい。2011/08/23
かがみ
4
日本古典文学の世界に深く潜り、現代における「個のあり方」を探る一冊。西洋的近代自我は「英雄神話」という「男性の物語(切断/再接続)」によって基礎付けられている。しかし現代においてはむしろ「女性の物語(個性化)」が男女問わずに必要とされる。こうした問題意識から、本書は「源氏物語」の中に紫式部が「娘」「妻」「母」「娼」を経て「個」としての女性へと向かう曼荼羅的ダイナミズムを見出している。本書の示す「物語のパラダイムシフト」は、否定神学システムの外部に特異点を見いだそうとする現代思想の動向とも親和的と言える。2020/01/10
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