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内容説明
イギリスの指導のもと、明治の初めに産声を上げた日本の鉄道。山がちな国土に狭軌という悪条件を克服する過程で、高速性、快適性、安全性を向上させ、1964年の東海道新幹線開業によってついに世界トップの水準に躍り出た。日本は現在、超電導リニアの技術で諸外国をリードし、かつて指導を受けたイギリスに高速電車網を構築している。本書では、明治から平成まで、多岐にわたる鉄道技術の進歩に光を当てる。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
skunk_c
57
2015年刊。内容はタイトルと異なり日本の鉄道技術史というべきもの。蒸気機関車から始まり、ディーゼル、電車、さらには台車や三相交流まで、図解を交えてその導入や発展の歴史をたどっており、今まで疑問に感じていたことや、知りたかったことがわかりやすく示されていて面白かった。ただ超電導リニアについての手放しの評価については、本当に必要なものなのか、そのコストや環境への影響(現実に静岡で問題になっている)、そして電力需要など、かなり疑問もある。確かに夢の技術だろうが、人口停滞で定常化も視野に入れるとどうなのかなぁ。2022/12/02
sibasiba
10
製鉄技術の欠如は知っていたが黎明期ここまで長い間輸入に頼っていたのか。リニアはこれほどの期間と資金を投入する程の価値が有るのか? 日立の「ジャベリン」を皮切りにどんどん海外に売り込んで欲しい。2015/06/04
hide
9
今でこそ日本の鉄道技術は世界屈指で輸出元になっているが、戦後までは後進もいいところだったというのが正直意外だった。急峻な国土により線路敷設のコストが嵩む、そもそも素材(名前の通り鉄をバカ食いする)や技術を持っていなかったため輸入→内製化する必要があるなど、無数のハードルを越えて今日の鉄道が出来たことが読んでいて伝わってきた。 超伝導リニアの技術的先進性・ロマンは理解できるけど、JR東海があそこまでの投資をする合理性があるのかは甚だ疑問が残る。2021/05/19
isao_key
8
欧米から約40年遅れて1870年頃に始まった日本の鉄道事業建設を大きく4つの段階に分け、分かりやすく解説する。1期が1870年から1920年の50年間で、当時の技術には江戸時代以来の三角測量技術が使われていた。この時代の終盤にSLや電車の国産化が進み、日本の技術も先進国に肩を並べる。2期は1920年から1955年の35年で、SL時代が終焉を迎え電化とディーゼル化が進み技術も急速な進歩を遂げた。3期が1955年から1985年の30年で鉄道システムの改革があった。最後に現代まで続く超伝導リニアの時代へと移る。2016/02/29
アメヲトコ
7
明治の鉄道導入からリニアまでの日本鉄道史を工学的な面から概説した一冊。測量の方法から車体の設計、台車やモーター、ブレーキの仕組みなどのさまざまな技術の仕組みが分かりやすく解説されていて(とはいえ高校程度の物理の基礎知識は必要)面白いです。日本もこの分野では世界をリードしてきたものの、国際競争の熾烈な時代、うかうかしてるとあっさり抜き去られかねないところもあり、これからが正念場なのかも。2017/09/04