内容説明
本書の「まえがき」で、著者は興味深い例を挙げている。20代の女性6人に、ある課題が記された封筒を持って電車に乗ってもらう。課題とは、目的地の駅にたどり着くまでに化粧をしてほしい、というものだ。6人の女性のうち3人は三世代家族の孫、あとの3人は核家族の娘である。さて、結果は。周囲の目を意識するあまり、孫グループは口紅をひく程度や化粧そのものができない。一方、娘グループは、何のためらいもなく化粧をし続けたというのだ。著者はこの相違を見て、日本人が綿々と築き上げ、紡ぎ、次代につないできた、周囲への配慮、公私の区別といった日本人固有の美徳が、プッツリと途切れてしまっている結果だと指摘する。暴走する子どもたち、家庭の崩壊、金がすべてと考える風潮、頼りにならぬ政治家を選ぶ意識の低さ……、こんな日本にしてしまったのは、すべて「大人の責任」だという。気鋭のジャーナリストが日本再生の方途を問う力作評論。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Kikuyo
14
再読。 お金や経済だけがすべてか? 何のため勉強するのか。 知的能力の重要性。 環境に配慮するための行動。 様々な問に対する 著者の意見はどれもまっとうで頷くばかりだ。このような感覚を持った方がいるということに何やら安堵感もある。2016/04/03
たま子
6
日本の教育の低下、憲法や隣国との問題、介護や環境問題など、様々な分野における著者の考えが述べられていた。一貫してぶれない考えで、読んでいて頷ける部分が多かった。20年近く前に書かれた本だが、憲法改正や拉致、尖閣諸島問題などほとんど進展がない状態で、日本は本当に大丈夫なのだろうかと感じた。2020/07/24
だいすけ
4
自分と自分の子供の安寧と豊かさが保証されれば、その他のことについてはほとんど考えないのは、先輩世代に対してフェアではない。生命の平等とは別次元の、教える者と教わる者の縦関係が厳然としてある。一番厳しく見つめるべきは自分自身であって、周りの事ではない。耳が痛すぎることもあるけれど、本当にその通りだと思う。2021/02/13
Masa
3
大阪空港の書店で購入。読んでみて驚きました。なるほどなぁ、納得しながら読んでいたんですが13年も前に書かれた本だったのですね。平積みで売っていたので新刊だと思っていたのです。13年前の日本の批判、提言が今現在のものかと見紛う程に日本には進歩が無いのかと思うと暗くなりますが、2020年の東京オリンピック誘致成功を起爆剤に少しでも良い方向に転換してくれたらと願う次第です。とても良い本でした。2013/09/09
chiezow
3
なかなか過激なこともを仰る櫻井さんですが、主張は一貫しているので気持ちいいです。軸を持つことの重要性を学ばされます。2012/03/23