内容説明
中学受験に失敗し、優秀な兄と比較されることにもうんざりしていた海生のもとに、祖父の急死の知らせが入る。ヨットの楽しさを教えてくれたおじいちゃんはもういない。サイアクの気分の夏休み、海生は親友の田明と家出を決意する。おじいちゃんの形見のディンギーに乗って。第57回産経児童出版文化賞大賞受賞作。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
たるき( ´ ▽ ` )ノ
44
夏に読むのにぴったり!潮風の香りを感じられるような爽やかさ。かなりの大冒険をした主人公たちは、きっとこれからもこの出来事を忘れずに糧にしていくんだろうな。2022/07/05
信兵衛
28
家出~ヨットの帆に風を受けて海の上を突き進む、その爽快感が抜群、素晴らしい。 是非この爽快感を味わってみて、とお薦めします。2017/02/26
ぱせり
14
大好きな本が文庫になった。こちらはタイトルのロゴが白抜きで、小さな本らしく軽くなった。文庫だもの、バッグに入れてどこにでも連れていけそうなのが嬉しい。この本を読むたびに、本の中のきらめきを浴び、経験したこともないその時間を共有した気持ちになる。わたしのなかのきらめきにになる。わたしのなかの大切な時間になる。 2016/07/18
秋
8
中学受験に失敗して勉強漬けになった中学1年の夏休み。そんなサイテーのなか、大好きだったおじいちゃんの急死。そんなサイアクの気持ちから逃れるため、僕は家出を決意する。2人と2匹の家出(というより夏休みの冒険)はあまり後先考えずに始まった。祖父の形見のディンキー(小船)に乗って家出をしてる訳だけど、海上の描写を読んでると船に乗ってどこかに行ってみたいなーと思えてくる。終盤にでる、おじいちゃんの隠した大好きな人への瓶詰め手紙。瓶詰の手紙とか、ロマンだよね。全く関係ないけど快晴の瀬戸内海を見ながら読みたい一冊。2017/05/13
Chiyo K.
5
中学受験に失敗した海生は、兄と比べられる辛さや「もやもや」を拭い去れない。大好きな祖父を亡くして心の寄るべを失い、家出を決意する。親友と愛犬を供として、すったもんだの末にヨットで出航。物語に大きな波乱はないが、中学生がヨットを操り家出をするというだけでも結構な冒険だ。少年たちの行動や風景が丁寧に描写され、心細さや自信のなさが解消されていく様子に自然と共感できる。直接的には書かれてなかったけど、海生が家出のパートナーに友と犬を選んだことも、彼の資質というか判断力が優れていることの証だと思った。2017/07/17