暴力について――共和国の危機

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暴力について――共和国の危機

  • ISBN:9784622050605

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内容説明

ベトナム戦争、プラハの春、学生運動…1960年代後半から70年代初頭にかけて全世界的な広がりをみせた騒然たる動向を、著者は亡命の地・アメリカ合衆国でどのように考えていたか。
「国防総省秘密報告書」を手がかりに嘘と現実(リアリティ)とのあり方を論じた「政治における嘘」、暴力と権力との相違をテーマにした「暴力について」、さらに「市民的不服従」など、本書は、情況への鋭い発言のかたちをとりながら、われわれとわれわれを取りまく世界への根本的な問いを投げかけている。
「政治とは何か」をもっとも明快かつ具体的に論じた書ともいえよう。

政治における嘘―国防総省秘密報告書についての省察
市民的不服従
暴力について
政治と革命についての考察―一つの註釈
60年代から70年代、ベトナム戦争と学生運動の時代に著者が何を見たか。「政治とは何か」を問う。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

テツ

18
ハンナ・アーレントによる暴力と権力への考察。冷戦時という時代背景もあって即そのまま現代社会に当て嵌まる訳ではないけれど、どんなに強固に完成していると確信している社会でも、その足下では革命の萌芽があちこちに散らばっている。ほんの小さな(と書いたら嫌がられるかもしれないが)ウイルス性の感染症だって世界の在り方をほんの二年で破壊したのだから、人々が熱狂と共に結集しても破壊と創造は行われるだろうな。コロナ禍は自身の政治的な思想信条をしっかりと確認点検する良い機会なのかもしれませんね。2022/01/05

chanvesa

14
随所にアーレントの苦悩が現れている。彼女の新しい権力の創造という格闘は「評議会」に託されているが、労働が主流になり、公的領域への関心が希薄になれば、学校で「民主主義の学校」と教わった地方自治の現場である地方議会にびっくりするようなことが起きるのはもう仕方がないのか。145頁の「権力と暴力は同一ではない」、173頁の「権力の独占はその国の真正な権力の源泉を干上がらせたり、漏れ出させたりする」、これらの言葉はベトナム戦争がアメリカ自身にもたらした影響への洞察の言葉を越えて、現代の世界への予言とも言える。2014/10/04

Rieko Ito

4
アーレントの暴力と権力に関する考察は、当時の時代に即したものでありながらいまも全く古びていない。特に興味深かったのは、「権力は銃身から生じる」というのはまったく非マルクス主義的であるというくだり。権力は生産過程によって規定されるのであり、暴力と権力の結合はありふれているが同一ではない、ということ。このあたりは「政治」哲学。また、革命において生まれる個人と集団の不死性との一体化のくだりは、政治「哲学」。他にも全編が示唆に富んでいる。2021/03/12

Ex libris 毒餃子

4
60年代アメリカの政治的情況を通じてアレントの政治思想が垣間見れる一冊。表題にもある「暴力」についてそれがどのように作用するかを中心に論じられている。2015/05/05

レコバ

3
3つの独立した論考と1つのインタビュー記事。要するにアメリカというシステムに含まれるバグをどう考えるかという哲学的な思索という理解でいいのかな。2014/05/21

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