内容説明
飄々としたなかに毒に塗れた暗闇が口を開ける――。
ホラーライトノベル、そして一級の怪談の書き手として定評のある黒史郎が書き下ろす久しぶりの単著。
某ビルに勤める人に共通する、ある特徴の謎「イボビル」、娘が丹精込めて育てていたひまわりだと思ったら…「ひまわり」、祖母の家の庭に棲んでいた何かとは「たぬき穴」、覚えていたい夢を起きたら直ぐにメモをする息子、その彼が描いた恐怖「直ぐメモ」、中国人留学生が話す自国の暗闇「僵尸(きょうし)」、酒を飲んでなぜ悪乗りをするのか? 男が語る驚愕の理由「不運な男」など全37話。すべてを覆い尽くす黒い怪異、ページをめくるごとに足を掬われ、底なしの闇に食まれてしまえ…!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
夢追人009
182
黒史郎さんの話は軽い文体で読み易くて絶対に堅苦しい方ではなく柔らかな感性の持ち主だと思いますね。怖い話ばかりだと気が滅入りますので少し怖さが緩めの中々に心にグッとくる人情噺を紹介しますね。『ぽんぽん』真理さんは十歳の頃に、生まれつき病弱な五歳の弟・健史さんを亡くしている。健史さんは一日布団に横たわり内臓が弱い為に何を食べても吐き戻してしまうのでガリガリに痩せていた。食べる事はできなくても空腹感が襲って来て「ねぇ、おなか」と「姉さん、お腹が空いた」という意味の喋る力もない消え入りそうな声で真理さんに訴えた。2021/01/09
ゆみきーにゃ
57
《購入》最近怪談本ばかりな気が('';)⚫⚫は怖すぎます。2017/05/06
HANA
52
実話怪談集。実話怪談って玉石混淆なので、著者名だけで安心して読めるってなかなか貴重。語り口とか内容とかオーソドックスであるが、逆にそれが安心して読めるようになっている。安定した語り口ってなかなかに大事だし。この人とか黒木あるじとかの世代って、怖い中にも妙なおかしみみたいなものを持ってる人が多いなあ。やはり人柄なのだろうか。こういう所、平山夢明とは一線を画している様な。本書の中にもそういった話が散見され、嫌さは無いが妙に引き込まれる話も多い。一番良かったのはノスタルジアを感じさせる話だけど。2015/08/03
澤水月
26
どれもいいけど哀切な「ぽんぽん」からあと終盤までの怒涛展開凄まじい。怪しいインド人アブサン会いたい! 某話の「生き目に入れる」は凄い言葉だ。中国人が語る風呂敷広がった話から、「黒い」身近極まる話まで振り幅広い。黒と言えば本書表紙の凝った凶悪さはこれまででも随一。そして後書き…いりませんから。謹んでお返しします、てか渡すなああああっ!(半狂乱2015/07/05
かおりんご
25
ホラー。ヒトコワから、なんとも言えない不思議な話まで、さまざま詰め込まれていました。霊を冒とくしたような発言をする人の行く末が、とても気になります。霊にかかわりすぎると、精神的に不安定になっていくものなのでしょうか。Gの話は、ホラーと言うよりも、Gそのものの気持ち悪さが先行してしまいました。2022/11/12