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内容説明
「のらくろ」の巨匠が「滑稽とはなにか」?」を真摯に探求する! 国内外の美学、修辞学、論理学等の著作から滑稽論を渉猟し、理論的バックボーンを追求。また、芸能・文芸・絵画の史料にその発祥を求める。滑稽理論の実例として、実作者ならでは、自身の作品を豊富に使用。また、愛弟子の長谷川町子ほか同時代作家の作品も、あたたかな解説とともに掲載する。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
徒花
350
序盤、「滑稽」についてさまざまな側面から論を集めるのはなかなか面白いのだが、後半に入って日本における滑稽の歴史になってくると、単なる人物の羅列のようになってしまい、一気に眠くなってくる。しかも本人があとがきに書いてあるように、マンガ以外の歴史を調べることは蛇足であり、その意味でも本書は単に著者の著者による著者のために書かれた本であるから、よほどの物好きでない限りカネを出して買ってまで読む必要はないと思う。2016/10/14
ヒダン
15
『のらくろ』の作者が滑稽を研究してまとめたもの。読んでいて面白い理論編と滑稽文化の起源から始まりよく網羅された史料編からなる。独自の理論ではなくて、滑稽の定義史のような内容。小難しい定義の言わんとするところを実現した一枚絵や四コマをそれぞれ与えている。デアソールの六分割はいい線いっていると思う。資料編は文芸と絵画に分かれている。田楽とか起源のところは初耳で興味深い。江戸時代になると日本史の授業を思い出したりした。昔の滑稽作品の何が面白いのかもう一言ずつ説明が欲しい感じではあった。2016/12/08
keroppi
14
「のらくろ」の田河水泡さんが88歳の時に記した本。なかなかちゃんと美学の理論や日本史を分析しているのにビックリ。前半の美学理論を具体的に漫画で説明しているのが面白い。後半の歴史は、もう少し図版か欲しいところ。2016/09/28
donky
5
実作の漫画家が、その生業のルーツを辿るという試みに壮大で稀有な志を感じました。「滑稽の研究」というタイトルにも大真面目ながら、軽妙な気分を映していますが、「研究」は果たして成就したか、少し疑問ではあります。とにかく面白い。理論編は、やや観念的で哲学書からの援用理論は分かり辛いのですが、漫画のコマを利用しての説明は機転が利いています。資料編の芸能での田楽・猿楽・能から落語への分岐、変遷の考察は珍しく面白かった。竹馬踊り様の姿が後の「おでん」に繋がるとは初見でした。文芸や絵画の滑稽史はやや物足りない印象です。2016/10/22
せいむ
1
史料編がとても面白い。能の成り立ちや、川柳に落語に小説に絵に...系統立てて説明してくれると本当にわかりやすい。特に狂歌や狂句.川柳の区別がついていなかったので勉強になった。何度か読み返している本