内容説明
日本初のテレビドラマは、紀元2600年で沸きかえる昭和15(1940)年に放送され、本放送も実現寸前だった。テレビ技術は、幻に終わった東京五輪に向けた国家プロジェクトとして莫大な予算が投じられ、その後も紀元2600年を控えて国威発揚のために、真珠湾攻撃の当日、昭和16年12月8日まで実験は続けられた。昭和15年4月に無線で放送されたテレビドラマ『夕餉前』に父が出演した、岩下志麻さん推薦!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Willie the Wildcat
27
節目。戦意高揚という政府の思惑通りに事は進むも、技術者そして国民には夢となる。迎えた昭和15年の『夕餉前』。巻末台本のシンプルさとは対照的な”肉受け渡し場面”。効果音の秘密兵器は・・・、時代とは言え確かに笑う。(笑)一方、真珠湾が”終焉”とは皮肉。故に戦後復興時の高柳氏の涙。喜び、悲しみ、そして愛しさ。様々な想いが伝わる。作品を通した伊馬氏や関係者と検閲官との化かし合いがささやかな主義主張。それにしても、時代とはいえ「思想宣伝選展覧会」とは嫌な名称。2016/12/11
fwhd8325
24
著者は、前作で州崎球場を取り上げた方です。今回も、昭和です。そして、夢の玉手箱と信じていた時期があったテレビジョンです。昭和を語るとき、どうしても戦争を避けて通るわけにはいかない。そして、もし戦争がなかったらという前提に考えてしまうことは仕方ない。戦争が始まる少し前、日本で初めてのテレビドラマが放送るからされた。このこともびっくりなのだが、ここに関わっていた方々の名前を拝見すると、その後のテレビ界との因縁めいたものを感じられるから歴史は面白い。最後に黒柳徹子の名前を登場させる。巧いノンフィクションです。2016/08/02
keroppi
11
紀元2600年つまり昭和15年、初めてのテレビドラマが放送された。(それだけで驚きなのだが)東京オリンピックや万国博覧会も予定され、活気に溢れる時代。テレビも実用化に向かう。戦争がその全てを潰していく。戦後のテレビに関わる人物関係も描きつつ、情熱に溢れた人々と時代を活写し、読み応えのあるノンフィクションだった。2016/08/24
やまけん
10
物凄く自分の嗜好に突き刺さる本だった。 内容はある学者がテレビを開発してから日本初、2番目のテレビドラマの試験放送までを、戦前から太平洋戦争開戦までの日本の情勢とリンクさせたノンフィクションもの。 学者のテレビ開発への熱意や、実用化に向けた開発チームとその両輪の関係にあったドラマ製作チームの熱気、戦争の足音が忍び寄る当時の日本の情勢への不安が読んでる内にごちゃ混ぜになって色んな種類の面白さが感じられました。2024/10/16
Tomotaka Nakamura
0
戦前日本のテレビ開発、試験放送に取り組んだ人々のお話。最後は戦争によって中止の憂き目にあってしまう。。。高校の先輩坂本朝一さんが出てきて親近感がわく。筆者の感情表現はちょっと芝居掛かっていてそこだけ少し引っかかりました^^;2018/02/07
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