内容説明
現代のさまざまな国家形態、政治思想、さらに哲学、弁論、文学・芸術の諸ジャンルにおける精神活動は、原型をほとんど古代ギリシアに見いだすことができるだろう。この天才的な民族の創造物にあらゆる面から深い考察を加え、文化史家としての力をすべて結集することで、ブルクハルトの『ギリシア文化史』は成立した。その史観の類を見ぬ深刻さ、厳しく率直な人間観、深い洞察力と広い視野により、古今の史家の試みをはるかに凌駕して、この畢生の大著は歴史の真実に肉薄する。第1巻は、ギリシア人とその神話、ポリスとそこで展開された僭主制や民主制を語る。
感想・レビュー
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bittersweet symphony
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ローマが絡んでくるとちと面倒ですが、欧州各国にとっての古代ギリシャは、直線的なルーツではなく日本にとっての古代中国くらい距離感がある、どこで線を引くかを考慮する必要のある遠い異国の文明なのではないかというのが最近の個人的なちょっとしたテーマの一つになっています。そういう意味でブルクハルトの蛮族ゲルマンから見た山の向こうの謎の古代文明的な切り口はうなづけるものであったりしましたね。文化史全8巻の1巻目は650ページ以上もあるのに政治・社会論に終始して文化史に到達しておりません。2021/07/17